製品・安全性 よくあるご質問

ご利用にあたっての注意
  • ここに掲載のQ&Aは、医療従事者向けの内容です。
  • この情報は、製品の適正使用に関する参考情報であり、あらゆるケースに適応されるものではありません。
    従いまして、 Q&Aの利用によって生じた結果については、責任を負いかねますのでご了承ください。なお、製品のご使用に当たっては、最新の電子添文/添付文書をご確認ください。
  • 製品に関してご不明な点がございましたら、弊社お問い合わせ窓口又は弊社担当MRにお問い合わせください。

タプコム

効能・効果

配合成分の単剤を併用した場合と比較するとチモロールの点眼回数が減少しますが、臨床効果に差はありませんか?

A

タプコム配合点眼液の用法(1日1回点眼)では、チモロールの点眼回数が2回から1回に減少しますが、原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象とした第Ⅲ相比較試験において、1日1回点眼の本剤の眼圧下降効果はタフルプロスト(1日1回)とチモロール(1日2回)の併用群に対する非劣性が検証されました1)。また、正常眼圧緑内障を含む開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象とした第Ⅲ相長期試験において、タフルプロスト(1日1回)とチモロール(1日2回)併用から本剤へ切り替えた群では、本剤投与開始時と比較して眼圧値に有意な変動は認められませんでした2)。【参考】

【参考】
第Ⅲ相比較試験1)
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者(488例)を対象に、導入期として4週間0.0015%タフルプロスト点眼液を1日1回点眼し、その後無作為に3群(本剤1日1回点眼群、0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回点眼群、0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回・0.5%チモロール点眼液1日2回の併用群)に割付け、治療期として二重盲検下で4週間点眼したところ、眼圧下降効果を指標とした本剤群の0.0015%タフルプロスト点眼液群に対する優越性、0.0015%タフルプロスト点眼液・0.5%チモロール点眼液併用群に対する非劣性が検証された(図1)。

>図1 治療期終了時(4週又は中止時)における平均日中眼圧変化量
図1 治療期終了時(4週又は中止時)における平均日中眼圧変化量

第Ⅲ相長期試験2)
正常眼圧緑内障を含む開放隅角緑内障又は高眼圧症患者(136例)を対象に、導入期として0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回、0.5%チモロール点眼液1日2回、あるいは0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回・0.5%チモロール点眼液1日2回の併用の3群をそれぞれ4週間点眼した。その後、治療期として本剤を1日1回52週間点眼した結果、0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回及び0.5%チモロール点眼液1日2回からの本剤への切り替えでは、治療期のすべての測定時点において、治療期開始時0週と比較して有意な眼圧下降を示した。一方、0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回・0.5%チモロール点眼液1日2回の併用から本剤への切り替えでは、治療期開始時0週と比較して眼圧値に有意な変動は認められなかった(図2)。

図2 治療期開始時(0週)からの眼圧変化量
図2 治療期開始時(0週)からの眼圧変化量

参考資料
  • 1)桑山泰明他:あたらしい眼科 30, 1185(2013)【63728】
  • 2)桑山泰明他:あたらしい眼科 32, 133(2015)【63730】

[2020/09 更新]

用法・用量

用法は1日1回点眼ですが、どの時間帯に点眼すればよいですか?

A

タプコム配合点眼液を点眼する時間帯に特に決まりはありません。異なる時間帯に点眼して眼圧下降効果を比較検討した試験は行っておらず、点眼する時間帯によって効果に差がみられるかは明らかではありません。点眼する時間帯の比較試験はありませんが、タプコム配合点眼液は朝点眼後24時間においても有意な眼圧下降効果を示し1)2)、夜点眼においても点眼後24時間で対照(タプロス点眼液・チモプトールXE点眼液0.5%併用)群と比較して有意な眼圧下降効果を示しました3)
これらのことから、点眼を忘れないよう、患者さんのライフスタイル等を考慮して点眼時刻を設定してください。

配合成分のタフルプロストはFP受容体作動薬で、眼瞼の色調変化や眼周囲の多毛化等、眼の局所に副作用が発現することが知られていますので、副作用の予防あるいは軽減のために、例えば入浴前の点眼に設定するのもひとつの方法です。

参考資料
  • 1)桑山泰明他:あたらしい眼科 30, 1185(2013)【63728】
  • 2)桑山泰明他:あたらしい眼科 30, 1773(2013)【63729】
  • 3)Nakamoto K. et al.:Clin. Ophthalmol. 12, 359(2018)【65946】

[2023/04 更新]

用法は1日1回点眼ですが、1日2回以上点眼した場合の効果や安全性について教えてください。

A

タプコム配合点眼液は、緑内障患者を対象として1日2回以上点眼した臨床試験を実施していません。そのため、1日2回以上点眼した場合の効果や安全性については不明です。
しかし、他のFP受容体作動薬で1日2回以上の点眼で点眼日数を経るにしたがって効果が減弱したという報告(海外データ)1)2)があるため、タフルプロストを含有するタプコム配合点眼液も同様に効果減弱の可能性が考えられます。また、非臨床の反復投与毒性試験において、本剤、タフルプロスト0.0045%・チモロール1.5%、タフルプロスト0.0045%、チモロール1.5%をサルの片眼に1回30µL、1日2回13週間点眼したところ、本剤等タフルプロストを含有する群で虹彩の色調に変化がみられたものの、他に本剤投与に起因すると考えられる変化は認められませんでした【参考】。ただし、チモロールマレイン酸塩点眼液の用法は通常、1日2回です(ゲル化製剤は1日1回)。用法を超えて点眼すると、全身性副作用が発現しやすくなる可能性があります。
したがって、タプコム配合点眼液を投与する際は、用法・用量を守り、1日1回を超える回数の点眼をしないよう患者さんにご指導ください。

【参考】
反復投与毒性試験3)
投与期間 動物種 投与量 主な所見 無毒性量
[投与期間]13週間 [動物種]サル [投与量] ①本剤
②0.0045%タフルプロスト/1.5%チモロール
③0.0045%タフルプロスト
④1.5%チモロール
⑤本剤の基剤

各点眼液を30µL/眼/回、2回/日(12時間間隔)、左眼点眼
[主な所見] 眼科学的検査や剖検、病理組織学的検査等において本剤投与に起因すると考えられる変化は認められなかった。

タフルプロストを含有する群
虹彩の色調変化(チモロールの配合による増悪は認められなかった)。
[無毒性量] 0.0045%タフルプロスト/1.5%チモロール
(0.9/300µg/kg/日*)

*:サルの体重を3.0kgとした場合

参考資料

[2023/04 更新]

特殊背景患者

気管支喘息又はその既往歴のある患者、気管支痙攣又は重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者に禁忌である理由を教えてください。

A

タプコム配合点眼液点眼後、全身に吸収された配合成分であるチモロールが気管支平滑筋に局在するβ-受容体を遮断することにより、気管支平滑筋を収縮し、喘息発作の誘発・増悪を起こすおそれがあります。そのため、「気管支喘息又はその既往歴のある患者、気管支痙攣又は重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者」への投与は禁忌としています1)

慢性閉塞性肺疾患のある患者さんへのタプコム配合点眼液の投与基準

タプコム配合点眼液の投与禁忌である「重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者」の明確な基準はありません。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は有害物質の長期吸入曝露などにより生ずる肺疾患で、不可逆性または可逆性の小さい気流閉塞を示し緩徐進行性であることから、個々の患者さんの呼吸機能等を考慮して投与をご判断ください。

参考資料
お知らせ

[2023/04 更新]

コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)又は心原性ショックのある患者に禁忌である理由を教えてください。

A

タプコム配合点眼液の配合成分であるチモロールマレイン酸塩のβ-受容体遮断による陰性変時・変力作用により、症状を増悪させるおそれがあるため、これらの患者は投与禁忌としています1)
心臓のβ受容体が刺激されると、

  • 洞調律(洞房結節興奮)促進による心拍数の増加[陽性変時作用]
  • 心房筋および心室筋の収縮力増強[陽性変力作用]
  • 房室結節等の刺激伝導速度の増加

の結果、心拍出量が増大します。
心不全の根本原因は心筋のポンプ機能の低下であり、コントロール不十分な心不全ではβ-受容体遮断作用(先述の陽性変時・変力作用および刺激伝導速度の抑制)によって症状を増悪させるおそれがあります。また、洞房結節における電気パルスの生成・伝導の低下により心拍が遅くなる洞性徐脈、房室結節における電気パルスの伝導低下である房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)においてもβ-受容体遮断作用によって症状を増悪させるおそれがあります。心原性ショックは心筋梗塞、心筋炎、不整脈等により急激に心拍出量が低下する病態で、β-受容体の遮断でさらに心拍出量が抑制され症状を増悪させるおそれがあります。

心不全の患者さんへのタプコム配合点眼液の投与基準

タプコム配合点眼液の投与禁忌に設定されている「コントロール不十分な心不全」に明確な基準は特にありません。個々の患者さんの心臓機能等を考慮して投与をご判断ください。

参考資料
お知らせ

[2023/04 更新]

投与に注意が必要な患者として、無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者さんが設定された理由を教えてください。白内障手術時の休薬は必要ですか?

A

タプコム配合点眼液は有効成分としてタフルプロストを含有するため、タフルプロスト点眼液の電子添文を参考に設定しました。他のFP受容体作動薬で無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者さんに使用した場合に、嚢胞様黄斑浮腫(CME:cystoid macular edema)を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下を起こしたとの報告があり、また、タフルプロスト点眼液でも同様の報告が集積したことから、投与に注意が必要な患者として設定しました12)

タプコム配合点眼液を使用している場合、白内障手術時の休薬は必要ですか?

白内障手術を受ける場合のタフルプロスト点眼液をはじめとするFP受容体作動薬の休薬の是非について、一定の見解はありません。有効成分としてタフルプロストを含有するタプコム配合点眼液も同様です。

白内障手術後、一部の患者さんに見られるCMEは、FP受容体作動薬の継続使用も発現要因の一つと考えられていますが、その発現機序は不明です。

要因の一つと考えられているため、白内障手術時にはFP受容体作動薬を休薬した方が望ましいと考えます。しかしながら休薬により眼圧コントロールに影響を与える可能性がありますので、患者さんごとに緑内障の病状やCME発症のリスク等を考慮して休薬するかどうかご判断ください。

参考資料

[2023/04 更新]

妊婦へ投与できますか?

A

タプコム配合点眼液は妊産婦への使用経験がなく安全性が十分検討されていません。妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
投与される場合には、点眼液の全身への移行が最小限になるよう、点眼後の涙のう部圧迫および閉眼をご指導ください。
なお、タプコム配合点眼液では検討していませんが、配合成分の1つであるタフルプロストの胚・胎児発生に関する試験では、ラットに10µg/kg/日(臨床用量の約670倍)または30µg/kg/日(臨床用量の2000倍)、ウサギに0.03µg/kg/日(臨床用量の2倍)または0.1µg/kg/日(臨床用量の約6.7倍)を静脈内投与した場合、着床後胚死亡率の増加、胎児の発育に対する影響や催奇形性等が認められました1)。さらに、ラットへの点眼投与ではタフルプロストの胎盤通過性が認められています。また、チモロールマレイン酸塩の生殖発生毒性試験では、器官形成期のラットに500mg/kg/日を経口投与した試験で骨化遅延が、マウスに1,000mg/kg/日、ウサギに200mg/kg/日を経口投与した試験で死亡胎児数の増加が認められています【参考】。
※タプコム配合点眼液を体重60kgの患者の両眼に1回1滴(30µL)を点眼投与したときのタフルプロストの投与量(0.015µg/kg/日)

【参考】
本剤の生殖発生毒性試験、安全性薬理試験、血液-胎盤関門通過性に関する該当資料なし
生殖発生毒性試験1)

<タフルプロスト>

試験項目 動物種 ① 投与期間
② 投与量(µg/kg/日)
生殖発生に関する主な所見 無毒性量
[試験項目]受胎能及び着床までの初期胚発生 [動物種]ラット [① 投与期間、② 投与量(µg/kg/日)]
    • ①(雄)交配前2週間~剖検前日(合計9週間)
    • (雌)交配前2週間~妊娠6日
  • ②10,30,100(静脈内)
[生殖発生に関する主な所見]
  • 全投与群
    • 親動物の受胎能及び初期胚発生に影響は認められなかった。
[無毒性量]
  • (雄)
    • 30µg/kg/日
  • (雌)
    • 100µg/kg/日
  • (胎児)
    • 100µg/kg/日
[試験項目]胚・胎児発生 [動物種]ラット [① 投与期間、② 投与量(µg/kg/日)]
  • ①妊娠6日~17日
  • ②3,10,30(静脈内)
[生殖発生に関する主な所見]
  • 全投与群
    • 母体への影響は認められなかった。
      10µg/kg/日以上の投与群:
      胎児体重の低値及びそれに伴う第5胸骨未骨化の頻度増加が認められた。
  • 30µg/kg/日投与群
    • 着床後胚死亡率の増加及び腰椎・胸椎における変異所見数の増加が認められた。
[無毒性量]
  • (母動物)
    • 30µg/kg/日
  • (胎児)
    • 3µg/kg/日
[動物種]ウサギ [① 投与期間、② 投与量(µg/kg/日)]
  • ①妊娠7日~19日
  • ②0.03,0.1,0.3(静脈内)
[生殖発生に関する主な所見]
  • 0.1µg/kg/日以上の投与群
    • 流産、一過性の体重増加抑制、黄体数、着床数の減少、着床後胚死亡率の増加及び生存胎児数の減少が観察された。
  • 0.03µg/kg/日投与群
    • 胎児に外脳症、二分脊椎、眼瞼開裂及び指欠損・合指等の外表異常及び内臓異常が認められ、骨格においても関連した異常が認められた。
[無毒性量]
  • (母動物)
    • 0.03µg/kg/日未満
  • (胎児)
    • 0.03µg/kg/日未満
[動物種]ウサギ [① 投与期間、② 投与量(µg/kg/日)]
  • ①妊娠7日~19日
  • ②0.001,0.003,0.01(静脈内)
[生殖発生に関する主な所見]
  • 全投与群
    • 母体には投与に関連した死亡及び流産はなく、着床後胚死亡率を含むすべての生殖パラメータに投与による影響は認められなかった。
[無毒性量]
  • (母動物)
    • 0.01µg/kg/日
  • (胎児)
    • 0.01µg/kg/日
[試験項目]出生前及び出生後の発生並びに母体の機能 [動物種]ラット [① 投与期間、② 投与量(µg/kg/日)]
  • ①妊娠6日~分娩後20日
  • ②0.3,1,3,10(静脈内)
[生殖発生に関する主な所見]
  • 1µg/kg/日以上の投与群
    • それぞれ数例の母体に哺育行動の不良がみられ、出生児の4日生存率の低値が認められた。
  • 10µg/kg/日投与群
    • 分娩後0日の出生児の死亡増加及び体重の低値、分娩後3日の耳介展開の遅延が観察された。
[無毒性量]
  • (母動物)
    • 0.3µg/kg/日
  • (出生児)
    • 0.3µg/kg/日

<チモロールマレイン酸塩>
交配前・妊娠初期、器官形成期及び周産期・授乳期のラットに50~500mg/kg/日を経口投与した試験並びに器官形成期のマウス、ウサギにそれぞれ50~1,000mg/kg/日、30~200mg/kg/日を経口投与した試験において、ラットの最高用量群で軽度の骨化遅延が、また、マウス、ウサギの最高用量群に死亡胎児数の増加が認められた以外、生殖障害及び催奇形作用は認められなかった。

安全性薬理試験2)

<タフルプロスト>

摘出子宮への影響 [摘出子宮への影響]ラット摘出子宮 タフルプロストカルボン酸体0.001~100ng/mL
in vitro
0.1ng/mL以上:静止期張力の増加
1ng/mL以上:最大張力の増加と収縮頻度の増加
[摘出子宮への影響]ウサギ摘出子宮 タフルプロストカルボン酸体0.01~100ng/mL(in vitro 1ng/mL以上:最大張力の増加
(静止期張力には100ng/mLまで影響は認められなかった)

摘出子宮(ラット)で収縮作用のみられた最小濃度0.1ng/mLは臨床用量点眼投与時の推定血漿中濃度(30pg/mL未満)の約3.3倍、タンパク結合率にて換算した推定血漿中非結合型薬物濃度(0.24pg/mL未満)の約420倍に当たる。
※タプコム配合点眼液を体重60kgの患者の両眼に1回1滴(30µL)を点眼投与したときの投与量(0.015µg/kg/日)

血液-胎盤関門通過性
<タフルプロスト3)
ラット(妊娠12及び18日)の両眼に0.005%3H-タフルプロスト点眼液5µLを単回点眼したとき、母体の血漿中放射能濃度は点眼後15分(最初の測定時点)に、羊水及び胎児中放射能濃度は点眼後1~4時間にCmaxとなった。すべての時点において、胎児中放射能濃度は母体の血漿中放射能濃度を超えることはなかったが、タフルプロスト又はその代謝物の胎盤通過性が認められた。
妊娠12日 妊娠18日
Cmax(ng eq./g) Tmax(hr) Cmax(ng eq./g) Tmax(hr)
血漿 [血漿]
0.799
[血漿]
0.25
[血漿]
0.887
[血漿]
0.25
羊水 [羊水]
0.098
[羊水]
4
[羊水]
0.117
[羊水]
4
胎児 [胎児]
0.089
[胎児]
4
[胎児]
0.115
[胎児]
1

<チモロールマレイン酸塩4)
ラットに14Cチモロールマレイン酸塩7.3mg/kgを経口投与した試験において、2時間後、羊水中には血漿中濃度の約1/9に相当する0.17µg/mLが、胎盤には1.27µg/gのチモロールが認められた。

参考資料

[2023/04 更新]

授乳婦へ投与できますか?

A

タプコム配合点眼液の授乳婦への投与は、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を判断してください。乳児への影響が懸念される場合には授乳を中止し、人工母乳に切り替えてください。授乳を継続する場合には点眼液の全身への移行が最小限になるよう、点眼後の涙のう部圧迫および閉瞼をご指導ください。
タプコム配合点眼液は授乳中の女性への使用経験はなく、乳汁を介した哺乳児に対する安全性は十分検討されていません。また、配合成分であるタフルプロストでは動物実験(ラット、点眼)で乳汁中への移行が認められた等の報告が、もう一つの配合成分 チモロールマレイン酸塩では点眼によりヒト乳汁中への移行が認められたとの報告があります【参考】。

【参考】
本剤の乳汁への移行性、生殖発生毒性試験に関する該当資料なし
乳汁への移行性1)
<タフルプロスト>
ラット(授乳期)の両眼に0.005%3H-タフルプロスト点眼液5µLを単回点眼したとき、血漿中及び乳汁中放射能濃度はそれぞれ点眼後30分(最初の測定時点)及び2時間にCmaxとなり、タフルプロスト又はその代謝物の乳汁への移行が認められた。点眼後24時間にはそれぞれCmaxのおよそ1/100まで減少した。血漿中放射能濃度に対する乳汁中放射能濃度の比は、点眼後1~8時間で1を上回ったが、点眼後24時間以降では1未満であった。
Cmax(ng eq./g) Tmax(hr)
血漿 0.466 0.5
乳汁 0.262 2

<チモロールマレイン酸塩>
出産後より0.5%チモロールマレイン酸塩点眼液を点眼していた授乳婦(34歳)に0.5%チモロールマレイン酸塩点眼液1滴を片眼に1回点眼したところ、点眼後1.5時間の血漿中に0.93ng/mL、母乳中に5.6ng/mLのチモロールが認められた(外国人データ)。

生殖発生毒性試験
<タフルプロスト2)
試験項目 動物種 ①投与期間
②投与量(µg/kg/日)
生殖発生に関する主な所見 無毒性量
[試験項目]出生前及び出生後の発生並びに母体の機能 [動物種]ラット [①投与期間、②投与量(µg/kg/日)]
  • ①妊娠6日~分娩後20日
  • ②0.3,1,3,10(静脈内)
[生殖発生に関する主な所見]
  • 1µg/kg/日以上の投与群
    • それぞれ数例の母体に哺育行動の不良がみられ、出生児の4日生存率の低値が認められた。
  • 10µg/kg/日投与群
    • 分娩後0日の出生児の死亡増加及び体重の低値、分娩後3日の耳介展開の遅延が観察された。
[無毒性量]
  • (母動物)
    • 0.3µg/kg/日
  • (出生児)
    • 0.3µg/kg/日

<チモロールマレイン酸塩>
ラットを用いた経口投与(50~500mg/kg/日)による周産期・授乳期投与試験において、母動物の哺育行動の異常、新生児の体重減少、離乳率の低下、その後の発育抑制傾向が認められた。しかし、新生児の体重減少と離乳率の低下は本剤の苦味による母動物の哺育行動の変化に起因すると考えられた。

参考資料

[2023/04 更新]

小児等(新生児、乳児、幼児、小児)へ投与できますか?

A

タプコム配合点眼液は、小児等を対象とした臨床試験は実施しておらず安全性は確立していません。治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与してください。
投与される場合には、点眼液の全身への移行が最小限になるよう、点眼後の涙のう部圧迫および閉瞼をご指導ください。

※年齢区分(おおよその目安)
小児:7歳以上、15歳未満の児、幼児:1歳以上、7歳未満の児、乳児:生後4週以上、1歳未満の児、新生児:出生後4週未満の児、低出生体重児:出生時の体重が2500g未満の児

小児緑内障の治療

緑内障診療ガイドライン第5版 第8章 緑内障の病型別治療1)では、Ⅲ小児緑内障の一病型である1.原発先天緑内障の治療について、『治療の第一選択は手術治療である(1B)。』、また『薬物治療は周術期ないし手術治療後の補助手段として行われる(1B)。』としている。加えて、1.-2)薬物治療の項には『どの薬物も乳幼児・小児における安全性および効果についてのデータは確立していないことを忘れてはならない。』と記載している。

※【推奨の強さ】1:強く推奨する、2:弱く推奨する(提案する)
【エビデンスの強さ】A(強):効果の推定値に強く確信がある、B(中):効果の推定値に中程度の確信がある、C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である、D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない

参考資料
  • 1)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン改訂委員会:日本眼科学会雑誌 126,85(2022)【66595】
【関連するQ&A】

[2023/04 更新]

安全性

虹彩色素沈着が重大な副作用に設定された理由について教えてください。虹彩色素沈着が起きた場合はどのような処置が必要ですか?

A

タプコム配合点眼液はタフルプロストとチモロールマレイン酸塩を含有する点眼液です。タフルプロストなどのFP受容体作動薬による虹彩色素沈着は非可逆的な経過をたどるおそれがあるため、重大な副作用に設定しました1)。早期発見及び処置のため、重要な基本的注意にも定期的な診察等、使用中の注意と症状があらわれた際の処置を記載しています2)

虹彩色素沈着が起きた場合はどのような処置が必要ですか?

虹彩の色調変化は投与中止後も消失しないおそれがあるため、症状があらわれた場合は臨床状態に応じて投与を中止する等の処置を行ってください。

また、日本人に多い暗褐色の単色虹彩の患者さんでは変化がわかりにくい可能性があるため、早期発見及び処置のため定期的に診察し、十分に観察してください。

参考資料

[2023/04 更新]

眼瞼色素沈着や睫毛の異常が起きたときには、投与を中止したほうがよいですか?予防する方法はありますか?

A

タプコム配合点眼液により発現した眼瞼色素沈着や睫毛の異常は、投与中止後徐々に消失、あるいは軽減する可能性があり、投与を中止するのが望ましいと考えます1)。ただし、眼圧コントロールができていて、患者さんが投与継続を望まれる場合には、眼瞼皮膚など眼周囲に付着した点眼液のふき取りや洗顔を徹底してしばらく様子をみてもよいと考えます。タプコム配合点眼液の投与を中止するかどうかは、患者さんとよく相談してご判断ください。

予防する方法はありますか?

眼瞼色素沈着および睫毛の異常はFP受容体作動薬に共通してみられる副作用で、点眼液の接触が原因です。予防や軽減のため、点眼液が眼の周りについたときにはよくふき取るか、洗顔を指導してください。

他のFP受容体作動薬では、点眼後のふき取りを徹底することにより眼瞼の色素沈着や睫毛の異常が減少したという報告があります2)

また早期発見のため、患者さんを定期的に診察し、十分観察してください。

参考資料

[2023/04 更新]

服薬指導

コンタクトレンズを装用したまま使用してもよいですか?

A

コンタクトレンズ(CL)装用中の点眼可否は一概に決められるものではありません。眼の状態を十分に観察し、アドヒアランス等も考慮して、患者さんごとにタプコム配合点眼液の点眼可否をご判断ください。
原則的にはハード・ソフトを問わず、いずれのCLもはずして点眼し、少なくとも5~10分間の間隔をあけて再装用することが望まれます。ただし、一般的には眼表面に疾患がなく、CLを装用できる状態であれば、ハードCL(酸素透過性CLを含む)装用者が使用する場合は、そのまま点眼可能と言われています。
タプコム配合点眼液は1日1回点眼ですので、CL装用中の点眼を避けるための工夫として、朝CLを装用する前に点眼するか、あるいは、夜CLをはずした後に点眼するといった方法があります。

【注意】
点眼可否を判断する基準が定められていない現状では、点眼剤の剤型やCLの種類だけで決めることは難しく、製薬会社、CL販売会社などによっても見解が異なる場合があります。
【関連するQ&A】

[2021/12 更新]

その他、点眼剤の全般的な服薬指導についてはこちらをご覧ください。

製品に関するお問い合わせ(医療関係者の皆様)

製品情報センター:0120-921-839
※上記フリーコールがご利用いただけない場合:06-6321-7056
受付時間:9:00~17:00(土、日、祝日を除く)
お問い合わせフォームはこちら

会員向けコンテンツの閲覧について

このコンテンツは会員専用コンテンツとなっております。閲覧いただくには会員登録が必要です。

医療関係者向けページのご利用は日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、視能訓練士、医療事務・受付スタッフ、医学生)の方に限らせていただきます。日本国外の医療関係者、一般の方への情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。

会員登録済みの方

ユーザーIDを忘れた方

パスワードを忘れた方