製品・安全性 よくあるご質問

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ミドリンP / ミドリンM

効能・効果

作用機序について教えてください。

A

ミドリンP点眼液は副交感神経遮断薬であるトロピカミド(0.5%)と交感神経刺激薬であるフェニレフリン塩酸塩(0.5%)の配合剤であり、ミドリンM点眼液はトロピカミド(0.4%)のみ含有する製剤です。

副交感神経遮断作用を有するトロピカミドは、瞳孔括約筋の弛緩により、また、交感神経刺激作用を有するフェニレフリン塩酸塩は、瞳孔散大筋の収縮により、それぞれ散瞳効果を示します。両成分の併用による散瞳効果は相乗的であり、配合比1:1で効果が強くあらわれることが確認されています1)。また、トロピカミドは、毛様体筋(特にMuller筋)の弛緩により調節麻痺を発現します。

瞳孔括約筋、瞳孔散大筋および毛様体筋

瞳孔括約筋、瞳孔散大筋および毛様体筋

瞳孔径の変化

瞳孔径の変化

参考資料

[2019/03 更新]

ミドリンP点眼液とミドリンM点眼液の使い分けについて教えてください。

A

ミドリンP点眼液は主に散瞳を目的に、ミドリンM点眼液は主に調節麻痺の目的に使用されます。

ミドリンP点眼液は副交感神経遮断薬であるトロピカミド(0.5%)と交感神経刺激薬であるフェニレフリン塩酸塩(0.5%)の配合剤であり、ミドリンM点眼液はトロピカミド(0.4%)のみ含有する製剤です。一般に、高齢者等ではトロピカミド単独(ミドリンM点眼液)で十分な散瞳が得られないことがありますが、フェニレフリン塩酸塩を配合したミドリンP点眼液では年齢等に関係なく散瞳が得られる1)ため、散瞳目的にはミドリンP点眼液が多く使用されます。ただし、フェニレフリン塩酸塩にアレルギーがあるときや、高血圧症、動脈硬化症、心臓疾患、糖尿病、甲状腺機能不全、新生児のようにフェニレフリン塩酸塩の全身的な影響を避けたいときの散瞳にはミドリンM点眼液が用いられることがあります。

一方、調節麻痺の目的で両剤のうちいずれかを使用する場合、フェニレフリン塩酸塩には毛様体筋に対する作用がなく、毛様体筋以外の作用(目的外の作用)発現を回避するため、一般にミドリンM点眼液が用いられます。

調節麻痺の目的

ものを見るとき、目は自動的に見ようとする対象にピントを合わせています。この目の働きを調節と呼び、この機能は毛様体筋が収縮、あるいは弛緩し、水晶体の厚さを調節することによって行われています2)(図参照)。毛様体筋が麻痺すると、水晶体の厚みを増すことができず近方視ができなくなります。この状態を調節麻痺といいます。

トロピカミドを始めとする副交感神経遮断薬は、無調節状態での屈折力を測定する前に点眼したり、調節緊張や調節けいれん(毛様体筋が収縮し弛緩しない状態)の治療で用いられたりします。特に乳幼児や小児は調節力が強いため、調節麻痺させて測定しなければ、正確な屈折力の結果が得られません。そのため、これら副交感神経遮断薬(調節麻痺薬)を点眼してから屈折検査(屈折力を測定する検査)を行います3)

ピント調節のメカニズム

ピント調節のメカニズム

参考資料
  • 1)ミドリンP点眼液インタビューフォーム Ⅴ-3.-(5)-2) 散瞳作用の項
  • 2)第9版 現代の眼科学 p.50、金原出版(2006)【61789】
  • 3)専門医のための眼科診療クオリファイ1 屈折異常と眼鏡矯正 p.44、中山書店(2010)【65163】

[2019/09 更新]

ミドリンP 検査用散瞳点眼剤が処方されています。散瞳剤を治療に用いることがあるのですか?どのような目的で使うのですか?

A

手術侵襲や(サルコイドーシス、ベーチェット病、原田病等に伴う)ぶどう膜炎、外傷等により前眼部に炎症が生じると、フィブリンや炎症細胞が滲出し、虹彩と水晶体が癒着(虹彩後癒着)することがあります。この癒着が進行すると「急性緑内障発作」または「緑内障発作」と呼ばれる急激な眼圧上昇が起こるため、虹彩後癒着の治療を目的とし、ミドリンP点眼液をはじめとする散瞳剤が用いられます。また、これ以外にも、トロピカミドのような副交感神経遮断薬の毛様体筋けいれんに対する筋弛緩による鎮痛や、フェニレフリン塩酸塩等の血管透過性抑制による消炎を期待して使用されます1)
なお、投与する散瞳剤の種類や点眼回数、点眼期間は症状により異なります。

参考資料
  • 1)安藤靖恭:眼科ケア 8, 616(2006)【59347】

[2020/09 更新]

ミドリンP 点眼後、効果が発現するまでの時間はどのくらいですか?また、どのくらいで回復しますか?

A

ミドリンP点眼液による散瞳および調節麻痺効果の発現や回復までの時間は用法・用量や反応の個人差により異なります。

屈折異常のほかは眼疾患を認めない健康成人(n=8)を対象とし、ミドリンP点眼液(0.5%フェニレフリン塩酸塩と0.5%トロピカミドの合剤)を片眼(他眼は無処置)に1回1滴3分毎に3回連続投与すると、点眼終了後20分で瞳孔径および調節麻痺効果は最大となり、調節機能は5~6時間後に正常に回復しました1)
また、別の報告では、1分間隔で2滴点眼したとき約5分から7分後に散瞳が見られ始め、8時間後にはほぼ回復したとしています2)

なお、ミドリンP点眼液の点眼後に注意が必要な事項については【関連するQ&A】をご覧ください。

参考資料
【関連するQ&A】

[2018/09 作成]

特殊背景患者

緑内障患者さんへ使用する場合がありますが、使用しても大丈夫ですか?

A

緑内障患者さんにミドリンP点眼液やミドリンM点眼液などの散瞳剤の投与が禁忌とされているのは、主として狭隅角・閉塞隅角緑内障で急性緑内障発作を起こすおそれがあるためです。狭隅角、閉塞隅角緑内障眼を散瞳させると、房水の流出口である隅角が狭まり、房水の流れが滞ることで眼圧が急激に上昇する可能性があります1)(図参照)。しかし、眼科で急性緑内障発作の危険性が予測された場合には、大半においてレーザー虹彩切開術等の予防的措置が施されていますので、散瞳剤により急性緑内障発作が惹起される可能性はほとんどありません2)

眼科では個々の患者さんの眼の状態を観察した上で散瞳剤を投与しているため、問題はないと考えられますが、使用後に眼痛や頭痛、視機能低下、吐き気等異常を感じられた場合には、すみやかに眼科を受診するように指導してください。

狭隅角における散瞳による眼圧上昇機序

狭隅角における散瞳による眼圧上昇機序

参考資料
  • 1)ES NOW illustrated イラストでみる今日の眼科手術 No.15 閉塞隅角緑内障の治療戦略 p.22、メジカルビュー社(2000)【11708】
  • 2)松宮輝彦他:診断と治療 96, 979(2008)【61280】

[2019/03 更新]

ミドリンP 妊婦へ投与できますか?

A

ミドリンP点眼液は妊娠中の投与に関する安全性が確立していません。病状等から診断あるいは治療上必要性が高いと判断される場合のみ投与してください。
投与される場合には、点眼液の全身への移行が最小限になるよう、点眼後の涙のう部圧迫および閉瞼をご指導ください。

[2018/09 作成]

ミドリンP 授乳婦へ投与できますか?

A

ミドリンP点眼液の授乳婦への投与については、患者さんごとに使用目的や病状、投与回数・期間などを鑑み、ご判断ください。

なお、ミドリンP点眼液の投与で乳児への影響が懸念される場合には授乳を中止し、人工母乳に切り替えてください。授乳を継続する場合には、点眼液の全身への移行が最小限になるよう、点眼後の涙のう部圧迫および閉瞼をご指導ください。

[2018/09 作成]

ミドリンP 小児等(新生児、乳児、幼児、小児)へ投与できますか?

A

ミドリンP点眼液は、眼底検査時の散瞳、前眼部炎症(ぶどう膜炎等)時の瞳孔管理(虹彩後癒着の予防・治療)等、診断および治療の目的で使用されますが、小児等に対する安全性は確立していません。小児等に投与する場合には全身の副作用が起こりやすいので、観察を十分に行い、慎重に投与してください。特に低出生体重児では徐脈、無呼吸、消化管運動低下(腹部膨満、哺乳量低下等)等が起こるとの報告1)がありますので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行ってください。
なお、全身の副作用を防ぐため、必要に応じてミドリンP点眼液を希釈して使用してください。また、点眼液の全身への移行が最小限になるよう、点眼後の涙のう部圧迫および閉瞼をご指導ください。

*トロピカミドなどの三級アミンムスカリン受容体拮抗薬やフェニレフリン塩酸塩は、結膜嚢から血中への吸収は極めて少ないものの、鼻涙管を通って吸収の良好な粘膜表面に達して全身に影響を及ぼすことがあります。特に三級アミンムスカリン受容体拮抗薬は小児等で全身の副作用が起こりやすいとされています2)

※年齢区分(おおよその目安)
小児:15歳未満、幼児:7歳未満、乳児:1歳未満、新生児:出生後4週未満、低出生体重児:体重2500g未満

参考資料
【関連するQ&A】

[2020/09 更新]

服薬指導

検査後の指導について教えてください。

A

検査後もミドリンP点眼液やミドリンM点眼液による作用は持続します。副作用の確認も含め検査後は次のように指導してください。

(ミドリンP点眼液やミドリンM点眼液を点眼して)検査したあと4~5時間、眼がかすみ、普段よりまぶしい感じがしますが、自然になおります。検査のあと、半日ぐらいは自動車等の運転や危険な作業は避けてください。
なお、次のような症状が起こった場合は直ちに検査の担当者に連絡するか、近くの眼科医の診察を受けてください。

1. 検査のあとで急に頭痛や眼の痛みが起こった場合
2. 検査の翌日になっても次のような症状がある場合
1.ひとみが普段より大きい(左右のひとみの大きさがちがう)。
2.眼のかすみがよくならない。
3.普段よりまぶしい。
4.頭や眼がいたむ(風邪のように原因のわかっている場合を除く)。
参考資料
※患者さん向けの資料として「ミドリンP点眼液 くすりのしおり」がありますのでご活用ください。
(〔生活上の注意〕〔副作用〕の項)

[2019/03 更新]

その他、点眼剤の全般的な服薬指導についてはこちらをご覧ください。

製品に関するお問い合わせ(医療関係者の皆様)

製品情報センター:0120-921-839
※上記フリーコールがご利用いただけない場合:06-6321-7056
受付時間:9:00~17:00(土、日、祝日を除く)
お問い合わせフォームはこちら

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