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眼科医の書棚 ~先輩Drおすすめコンテンツ~
眼科医の書棚 ~先輩Drおすすめコンテンツ~ Vol.7
vol.7 ぶどう膜炎・眼内腫瘍で役立つ書籍/手術動画サイト
東京医科大学 臨床医学系眼科学分野 講師の坪田 欣也先生より、ぶどう膜炎を極めるために知っておくべき知識が凝縮された一冊、眼内腫瘍の典型例が数多くの画像で紹介されているアトラス、眼科手術手技が動画で学べる会員制サイトをご紹介いただきました。
東京医科大学 臨床医学系眼科学分野 講師
1.『所見から考えるぶどう膜炎 第2版』
- ジャンル:書籍・ぶどう膜炎
タイトル:『所見から考えるぶどう膜炎 第2版』(B5版/328頁)
編集:園田 康平、後藤 浩
出版社:医学書院
出版年:2022年
ISBN:978-4-260-04935-1
本書は、ぶどう膜炎を専門とすると決めたときに手に取り、有益だった一冊です。
私自身、多くのぶどう膜炎に関する書籍を読んでみたものの、文字で所見のイメージが述べられていてもわかりにくいと感じることが多くありました。その点、本書では多くのイラストや症例画像が掲載されており、文字を読み込まなくても画像を眺めるだけで特徴的な所見の把握が可能です。
また、ぶどう膜炎には感染性、非感染性、肉芽腫性、非肉芽腫性など多くの分類方法が存在します。臨床的には所見から原因疾患を推測することが多いため、まさに『所見から考えるぶどう膜炎』は臨床上おおいに有用と言えます。
例えば、所見を見慣れていない方にとっては、角膜後面沈着物の肉芽腫性、非肉芽腫性を見分けることも難しい場合がありますが、本書では所見ごとにまとめられているため、角膜後面沈着物の項を読むことで、自身が遭遇した角膜後面沈着物に似た前眼部写真を見つけることができます。そこからその症例が肉芽腫性であるのか、非肉芽腫性であるのか、鑑別疾患は何が考えられるのか、などがわかるのです。私自身も診療で遭遇した所見を本書で調べることで、鑑別疾患を改めて把握でき見落としが少なくなったと感じています。
ぶどう膜炎を診断していくためには、まず所見を理解することが大切といえます。その所見にフォーカスを当て診断までの過程が記載されているため、ぶどう膜炎を学ぶ導入時におすすめです。
2.『眼内腫瘍アトラス』
- ジャンル:書籍・眼腫瘍
タイトル:『眼内腫瘍アトラス』(A4版/226頁)
著者:後藤 浩
出版社:医学書院
出版年:2019年
ISBN:978-4-260-03892-8
眼内腫瘍の診断にはさまざまな検査手法があるものの、一番重要なのは「見た目」と言っても過言ではありません。そのため典型例であれば診断に至ることも容易ですが、希少疾患である眼内腫瘍の非典型例ともなると診断は非常に困難です。
例えば、眼内に白い腫瘤性病変がみられた場合、転移性脈絡膜腫瘍、網膜星状膠細胞過誤腫、後天性網膜星状膠細胞腫、眼内リンパ腫などが鑑別に挙がりますが、良性腫瘍疑いか悪性腫瘍疑いかでは今後の対応がまるで変わります。
本書は、わが国の眼内腫瘍のほぼすべてを網羅しており、外来診療で診断に迷った場合に、症例と似た画像を探すだけで診断に至ることが多いので重宝しています。実際に私自身も、眼内腫瘍に遭遇した場合には、まず本書で確認し、その後、所見を確認することで診断に至った症例が多数あります。
希少な眼内腫瘍の典型例のみならず、さまざまな表現型が写真で解説されている点も本書の特長です。通常の書籍(教科書)では、1疾患に対して多くても1ページ程度でまとめられていますが、本書では脈絡膜血管腫のみで15ページにもわたって解説されており、その多くが画像から構成されています。例えば脈絡膜血管腫は教科書的には橙赤色~橙色と記載されていますが、実際にはオレンジ色が強い症例、赤色が強い症例、色調変化があまりみられない症例、脈絡膜の萎縮がみられる症例など表現型が多数です。それらの画像も1例ごとに詳細に解説されています。
眼内腫瘍の診断は見た目が大事です。臨床で経験した症例に似た画像を本書で探せば、ほぼ答えが出ると言えるでしょう。普段から本書で見慣れていれば、眼内腫瘍の診断にはまず困らなくなるため、必携の一冊です。
3. iseminar
- ジャンル:WEBサイト・手術/レクチャー
タイトル:アイセミナー
URL:https://iseminar.net/
さまざまな施設における手術手技を学ぶことで新しい発見ができ、自分が執刀する手術の際の応用力が身につくサイトです。さらにセミナーさえ見ておけば最新の話題に触れることができ、乗り遅れることもありません。
例えば、白内障手術といっても、手法がさまざまあり、通常症例から難症例まで奥が深いと思います。本サイトでは、難症例や希少疾患に対する手術動画を見ることができ、さらにはスマートフォンでも再生できるため、場所を問わず動画を繰り返し閲覧でき、手技向上に非常に役立ちます。
かつて、私が手術を始めたばかりのころは、見本となる医師が自分の上司しかおらず、一人の上司の限られた手術手技のみを学ぶことしかできなかったため、なかなか技術が上達しないことがありました。本サイトでさまざまな医師の手術動画を参考にすることで、自身の手術の型をつくることができ、手技が向上するだけでなく、多様な場面での応用力が身についたと実感しました。私自身の経験では、増殖膜だらけの症例の手術動画を繰り返し見ながら手の動きをイメージすることで、増殖糖尿病網膜症手術の技量が向上したと自負しています。
また、若年症例では後部硝子体剥離を起こしづらいことは周知されていますが、本サイトでは若年症例の後部硝子体剥離作成動画があり、おおいに参考にさせていただきました。
セミナーでは最近の話題となる内容のディスカッションがあり、学会では聞けない他の医師の考えなどがわかり、刺激を受け、技術の向上意欲を高めることができます。
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