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眼科医の書棚 ~先輩Drおすすめコンテンツ~
眼科医の書棚 ~先輩Drおすすめコンテンツ~ Vol.3
vol.3 未熟児網膜症の診療技術向上に/眼病理の教科書として
関西医科大学医学部医学科眼科学教室 講師の大中 誠之先生より、未熟児網膜症の診療技術向上に役立つ1冊、眼病理の教科書に最適な1冊をご紹介いただきました。
関西医科大学医学部医学科眼科学教室 講師
関西医科大学附属病院眼科
1.『未熟児網膜症』
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ジャンル:書籍・未熟児網膜症
タイトル:『未熟児網膜症』(B5判/280頁)
編集:東 範行
出版社:三輪書店
出版年:2018年
ISBN:978-4895906432
本書の前半は未熟児網膜症に対する実践編として、診察方法や治療法について実際の写真を用いて詳しく述べられており、家族への説明や治療後のケアについても解説されています。後半は基礎編となっており、未熟児網膜症の歴史や疫学、病理や基礎研究などについて述べられており、未熟児網膜症をさらに深く理解することができる内容となっています。
未熟児網膜症の診察や治療には専門的な知識や技術が必要であり、その習得には時間がかかります。未熟児網膜症の専門医の先生に直接指導を受けることができれば最良なのですが、指導医自体が少ないという現状があります。本書は長年、未熟児網膜症に携わってきた専門医がこれまでの経験から得た未熟児診療におけるポイントをわかりやすく解説しています。そのため、本書を読むことで未熟児網膜症にこれから携わる若手の先生だけではなく、中堅の先生方の診療技術の向上にもつながり、未熟児網膜症診療全体のレベルアップが期待できると思います。
専門性が高く、診療に必要な技術を独学で習得することの難しい未熟児網膜症について、本書は基礎的なことから実践にいたるまでわかりやすく解説されており、診療技術の向上に欠かせない1冊です。
2.『眼疾患アトラスシリーズ第4巻 眼病理アトラス』
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ジャンル:書籍・眼病理
タイトル:『眼疾患アトラスシリーズ第4巻 眼病理アトラス』(B5判/232頁)
監修:大鹿 哲郎
編集:後藤 浩、小幡 博人
出版社:総合医学社
出版年:2020年
ISBN:978-4883786886
総論では正常組織の所見について詳しく述べられており、各論では眼科専門医が知っておくべき疾患について、疫学や臨床像、治療などの概説と病理組織所見の詳細な解説がなされています。いずれの疾患においても臨床所見と病理組織所見が対応するように提示されており、理解しやすい構成となっています。
眼科臨床医が病理組織を自分で確認し、診断を下すことは少ないのですが、病理組織を理解することは、病態を把握し適切な治療を行うためには大変重要なことです。しかし、病理に対して苦手意識を持っている先生は多いように感じます。本書は臨床写真とともに美しい病理組織写真がふんだんに使用されているためわかりやすく、苦手意識を持っている先生でも受け入れやすいのではないでしょうか。また所々に著者の実体験や豆知識などが掲載されており、それを楽しみに読み進めていくのもよいかもしれません。
本書は眼科専門医として知っておくべき眼病理の知識がコンパクトにまとめられており、何か眼病理の教科書を、とお探しの若手の先生におすすめします。
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