原発閉塞隅角緑内障（PACG）は、近年、疾患と治療の考え方にパラダイムシフトが起こり、眼科領域の重要なトピックとなっている。UBMの登場以降に解明された隅角閉塞機序に関する新知見やアジアでの疫学調査で判明した本疾患の深刻な実状はPACG診療の見直しを迫るものとなったが、本邦ではレーザー虹彩切開術後晩期の水疱性角膜症が多発していることでさらに難しい状況にある。PACGは適切な治療が行われなければ予後不良な疾患であるが、隅角閉塞の機序は従来考えられていたほど簡単ではないし、その治療も必ずしも容易ではない。本巻では、近年改められたPACGの分類や発生機序の考え方を解説し、治療戦略上の論点を整理する。