近年、薬剤耐性対策が眼科に限らず急務となっているが、その対策は不要な抗菌薬使用を慎むことに尽きる。我が国の白内障術後眼内炎の頻度は低く抑えられているが、過剰な抗菌薬が用いられてきた可能性はある。ヨード製剤は選択性がないため耐性菌に対しても有効であり耐性菌を誘導しない。周術期にヨード製剤を用いれば抗菌薬使用を抑えることができる可能性がある。また日本では適用外使用であるが、モキシフロキサシン前房内投与では高度耐性菌にも有効な抗菌薬濃度が実現される。中途半端な濃度の抗菌薬を漫然と用いた場合に耐性菌は誘導されやすいが、ヨード製剤に耐性はないし前房内投与は耐性菌誘導阻止濃度をも凌駕する抗菌薬の単回投与であり耐性菌誘導リスクも少ない。