領域 緑内障

オミデネパグイソプロピル点眼液の効果と安全性の検討

金森章泰ほか.臨床眼科 75(6): 767-774, 2021

試験概要

試験概要の図表

【試験概要】

目的
エイベリス点眼液0.002%(以下エイベリス点眼液)投与後6カ月以上経過観察できた症例の有効性と安全性を検討
対象
エイベリス点眼液を処方した両眼が有水晶体の開放隅角緑内障患者連続94例(原発開放隅角緑内障(狭義)12例、正常眼圧緑内障82例)。
方法
エイベリス点眼液を新規に1剤目として投与した群を新規群、使用中の緑内障点眼薬にエイベリス点眼液を追加投与した群を追加群、使用中の緑内障点眼薬1剤をエイベリス点眼液に変更した群を変更群とした。両眼投与の場合は、先に点眼を開始した眼を、両眼同時に開始した場合は投与前眼圧が高い眼を解析対象とした。眼圧は投与前2回の平均値、投与後2カ月まで2回眼圧測定した場合はその平均値を投与後1カ月の眼圧値とした。それ以降の眼圧検査は1カ月毎に行った。眼圧はGoldmann圧平眼圧計を用いて測定した。投与開始6カ月以上点眼を続行できたものを有効性の検討に用い、安全性の解析は94例全例について検討した。6カ月以内に中止に至ったもの、ノンレスポンダー症例は有効性の検討から除外した。眼圧に対するノンレスポンダーの判断は、投与前眼圧の10%以下とし、両眼の眼圧経過を加味し臨床的に判断し、エイベリス点眼液の投与を中止した。
評価項目
眼圧下降値、角膜厚、等価球面度数、ノンレスポンダー率、副作用発現率
解析計画
有効性解析対象集団はエイベリス点眼液を投与開始6カ月以上点眼を続行できた患者集団とした。投与前後の眼圧変化の解析はmixed effect modelにより行い、投与前後の屈折値、角膜厚は対応のあるt検定を行った。統計学的有意水準は5%とした。

エイベリス点眼液0.002%新規投与患者における眼圧下降効果

エイベリス点眼液0.002%新規投与患者において、投与前と比較して投与後に有意な眼圧下降効果が認められました。(p<0.001 vs ベースライン; mixed effect model)

新規投与患者における投与前および投与後1カ月毎の眼圧経過

新規投与患者における投与前および投与後1カ月毎の眼圧経過のグラフ

投与前眼圧の平均値が17.1±2.2mmHgに対し、エイベリス点眼液投与後6カ月の平均値は13.9±2.4mmHgでした。
また、投与後12カ月まで眼圧の平均値は14.3±2.5mmHgでした。

※投与開始12カ月まで観察できたのは14例

エイベリス点眼液0.002%の新規投与患者(投与前眼圧16mmHg以上)における眼圧下降効果

エイベリス点眼液0.002%新規投与患者のうち、投与前眼圧が16mmHg以上の患者において、投与前と比較して投与後に有意な眼圧下降効果が認められました。(p<0.001 vs ベースライン; mixed effect model)

エイベリス点眼液0.002%の新規投与患者(投与前眼圧16mmHg以上)における眼圧下降効果のグラフ

16mmHg以上の患者では、投与前眼圧の平均値が18.0mmHgに対し、エイベリス点眼液投与後の平均眼圧値は14~15mmHgでした。

エイベリス点眼液0.002%の新規投与患者(投与前眼圧16mmHg未満)における眼圧下降効果

エイベリス点眼液0.002%新規投与患者のうち、投与前眼圧が16mmHg未満の患者において、投与前と比較して投与後に有意な眼圧下降効果が認められました。(p<0.001 vs ベースライン; mixed effect model)

エイベリス点眼液0.002%の新規投与患者(投与前眼圧16mmHg未満)における眼圧下降効果のグラフ

16mmHg未満の患者において、投与前眼圧の平均値が14.7mmHgに対し、エイベリス点眼液投与後の平均値は12mmHg前後でした。眼圧が16mmHg未満の症例でもエイベリス点眼液の眼圧下降が示されました。

エイベリス点眼液0.002%の眼圧下降効果(変更)

エイベリス点眼液0.002%投与患者において、投与前と比較して投与後に有意な眼圧下降効果は認められませんでした。
(vs ベースライン; mixed effect model)

投与前および投与後1カ月毎の眼圧経過

投与前および投与後1カ月毎の眼圧経過のグラフ

エイベリス点眼液0.002%の眼圧下降効果(追加)

エイベリス点眼液0.002%投与患者において、投与前と比較して投与後に有意な眼圧下降効果が認められました。
(p<0.05 vs ベースライン; mixed effect model)

有効性検討を行った追加投与群7例の投与前および投与後1カ月毎の眼圧経過

有効性検討を行った追加投与群7例の投与前および投与後1カ月毎の眼圧経過のグラフ

エイベリス点眼液0.002%のノンレスポンダー率

  • 眼圧に対するノンレスポンダーの定義は、眼圧下降率が投与前眼圧の10%以下とし、両眼の眼圧経過を加味して判断した。
  • 全症例94例中4例がノンレスポンダーで、ノンレスポンダー率は4%であった。
  • ノンレスポンダーと判断した症例はエイベリス点眼液0.002%の投与を中止し、有効性の検討から除外した。

安全性

  • 副作用は94例中12例(12.8%)でみられ、すべて投与を中止した。
  • 副作用の内訳は、眼圧下降効果が不十分4例(4.3%)、充血2例(2.1%)、眼瞼炎1例(1.1%)、虹彩炎1例(1.1%)、裸眼視力低下1例(1.1%)、羞明1例(1.1%)、かすみ1例(1.1%)、黄斑浮腫1例(1.1%)でした。

    ※ 論文では「眼圧下降効果が不十分」も副作用として記載されていた

  • いずれの副作用※※も点眼を中止することで、症状は軽快しました。

    ※※ 「眼圧下降効果が不十分」を除く

  • 死亡例を含む重篤な副作用については、論文に記載がありませんでした。

おすすめコンテンツ

診断・治療

診断・治療

動画ライブラリー

動画ライブラリー

セミナー・ 講演会

セミナー・ 講演会

眼科と経営

眼科と経営

会員向けコンテンツの閲覧について

このコンテンツは会員専用コンテンツとなっております。閲覧いただくには会員登録が必要です。

医療関係者向けページのご利用は日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、視能訓練士、医療事務・受付スタッフ、医学生)の方に限らせていただきます。日本国外の医療関係者、一般の方への情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。

会員登録済みの方

ユーザーIDを忘れた方

パスワードを忘れた方