領域 緑内障
エイベリス点眼液0.002%の24時間眼圧下降効果の検討
監修:中元 兼二 先生 日本医科大学付属病院 眼科学教室 准教授
エイベリス点眼液は、原発開放隅角緑内障及び高眼圧症患者さんに対して、座位での眼圧測定において、24時間(日中・夜間)におけるすべての測定時点で、ベースラインと比較して有意な眼圧下降効果を示しました1)。
試験概要
- 目的
- 原発開放隅角緑内障または高眼圧症患者において、OMDI0.002%点眼液の24時間眼圧下降効果を検討する。
- 対象
- 眼圧18~34mmHgの無治療の原発開放隅角緑内障(18例)または高眼圧症(7例)の患者計25例(平均年齢52.2±8.5歳)
- 方法
- OMDI点眼液を1回1滴、1日1回(夜間)、4週間点眼し、ベースラインと4週間後の24時間眼圧を、座位及び生活姿勢(日中は座位、夜間は仰臥位)でそれぞれ測定し、比較した。眼圧測定には、座位ではゴールドマン圧平眼圧計、生活姿勢ではIcare PRO手持眼圧計を使用した。24時間眼圧は、4時間毎([日中]9時、13時、17時、[夜間]21時、1時、5時)に計6回測定した。評価眼はベースラインの24時間平均眼圧が高い方の眼とした。左右が同値の場合は右眼を評価眼とした。
- 有効性
評価項目 - OMDI点眼液の投与4週後の24時間眼圧の変化
- 安全性
評価項目 - 有害事象
エイベリス点眼液0.002%の承認された用法・用量は「1回1滴、1日1回点眼する。」である。
24時間の眼圧推移(平均値±標準偏差、対応のあるt検定)
-
平均値±標準偏差
*:p<0.01 対応のあるt検定(vs ベースライン) -
平均値±標準偏差
*:p<0.05 対応のあるt検定(vs ベースライン)
Clinical Ophthalmology. 15: 3997-4003, 2021 Originally published by and used with permission from Dove Medical Press Ltd.
安全性
有害事象としては、軽度結膜充血(8例)、軽度虹彩炎(1例)がみられましたが、いずれも試験終了後に消失しました。本試験においては、重篤な全身性の有害事象は認められませんでした(有害事象による投与中止例については論文に記載なし)。
座位(ゴールドマン圧平眼圧計)で測定したオミデネパグ イソプロピル(OMDI)0.002%点眼液投与4週後の日中平均眼圧、夜間平均眼圧、24時間平均眼圧において、いずれもベースラインと比較して有意な眼圧下降が認められました。
また、ベースラインは日中眼圧のほうが夜間眼圧よりも高い傾向にありましたが、4週間のOMDI点眼後の平均眼圧は24時間を通じてベースラインよりも一貫して低く、眼圧下降効果が示されました。
生活姿勢(日中は座位、夜間は仰臥位)で測定したOMDI点眼液投与4週後の日中平均眼圧、夜間平均眼圧において、いずれもベースラインと比較して有意な眼圧下降が認められました。測定時間別にみると、5時と17時を除く時点で、ベースラインと比較して有意差が認められました。
OMDI0.002%点眼液投与前後の平均眼圧(平均値±標準偏差、対応のあるt検定)
Clinical Ophthalmology. 15: 3997-4003, 2021 Originally published by and used with permission from Dove Medical Press Ltd.
- 1)Shiratori N, et al.: Clinical Ophthalmology. 15: 3997-4003, 2021 Originally published by and used with permission from Dove Medical Press Ltd.
(本研究は参天製薬株式会社からの資金提供により実施された。共同著者に同社の社員、同社とコンサルティング関係にあるものが含まれる。) - 2)Mansouri K, et al.: Surv Ophthalmol. 65: 171-186, 2020
(著者のうち参天製薬株式会社からコンサルタント料/アドバイザー料を受領しているものが含まれる。) - 3)Sakata R, et al.: IOVS. 54(8): 5313-5320, 2013
おすすめコンテンツ
動画ライブラリー
眼科と経営
Dr.comment監修:中元 兼二 先生
日本医科大学付属病院 眼科学教室 准教授
これまでの緑内障治療点眼薬の中には、1日の時間帯により眼圧下降効果に差があることが報告されています2)。眼圧日内変動の平均眼圧及び最高眼圧と同様に変動幅も大きくなると視野障害が進行していた3)ことが報告されていますので、眼圧下降効果は日中のみならず夜間も強力で、かつ、1日を通してばらつきが少ない薬剤が求められます。
EP2受容体に選択的に作用して眼圧下降効果を示す世界初の緑内障・高眼圧症治療薬であるエイベリス点眼液は、日中及び夜間(いずれも平均眼圧)を通じて眼圧下降を認め、座位での眼圧測定において、1日1回1滴の点眼で24時間におけるすべての測定時点で、ベースラインと比較して有意な眼圧下降効果が得られたことが、当院の白鳥らの報告で示されました1)。
エイベリス点眼液は、今後、緑内障・高眼圧症患者さんのファーストラインの治療選択肢(第一選択薬)の1つとなることが期待されます。