領域 白内障

Santenインジェクターの標準的角膜切開サイズに関して

大内 雅之 先生

<試験実施者>

大内雅之アイクリニック 院長
大内 雅之 先生

試験概要

1.目的

現状 標榜している自社インジェクター(INJ)の標準的切開サイズ※1は、製品開発 ならびに 上市段階に都度評価のうえ決定されてきたが、評価時期 ならびに 評価者が異なっていることから、必ずしも同一基準のもと評価されたデータとは言い切れない。そこで、試験に基いた製品の適正使用情報の整備を目的として、医科学専門家(医師)による確認を加えることで、現状データの妥当性を確認した。

※1 標準的切開サイズ・・・非臨床検証を踏まえ想定される、人眼への眼内レンズ(IOL)挿入時の多くの場合において必要となる切開サイズ(症例や術式等によっては、より大きな切開サイズが必要となることも想定される)

2.試験対象のINJと対応IOL、および 現在標榜している標準的切開サイズ

  • レンティス コンフォートシリーズ
    1. エタニティーアクセス イーズ・LCJ × LS-313 MF15(角膜:2.4mm~/強角膜:2.2mm~)
    2. エタニティーアクセス イーズ・LCJ × LS-313 MF15 T3(角膜:2.4mm~/強角膜:2.2mm~)
    3. アキュジェクト ユニフィット・WJ-60MⅡ × LS-313 MF15(角膜:2.4mm~/強角膜:2.2mm~)
    4. アキュジェクト ユニフィット・WJ-60MⅡ × LS-313 MF15 T3(角膜:2.4mm~/強角膜:2.2mm~)
  • エタニティーシリーズ6.0mm(1P)
    1. アキュジェクト ユニフィット・WJ-60MⅡ × W-60R(角膜:2.4mm~/強角膜:2.2mm~)
    2. アキュジェクト ユニフィット・WJ-60MⅡ × W-60(角膜:2.4mm~/強角膜:2.2mm~)
    3. エタニティーアクセス イーズ・SWJ-60R × W-60R(角膜:2.4mm~/強角膜:2.2mm~)
  • エタニティーシリーズ7.0mm(3P)
    1. エタニティーアクセス イーズ・SXJ-70ⅡS × NX-70S(角膜:3.0mm~/強角膜:2.8mm~)
    2. エタニティーアクセス スクリュー・RXJ-70S × NX-70S(角膜:3.0mm~/強角膜:2.8mm~)
    3. エタニティーナビ・XJ-70 × NX-70(角膜:3.2mm~/強角膜:3.0mm~)
    4. エタニティーアクセス イーズ・SXJ-70Ⅱ × NX-70(角膜:3.2mm~/強角膜:3.0mm~)
    5. エタニティーアクセス イーズ・SXJ-70Ⅱ × NX-70S(角膜:3.2mm~/強角膜:3.0mm~)
    6. エタニティーアクセス スクリュー・RXJ-70 × NX-70(角膜:3.2mm~/強角膜:3.0mm~)
    7. エタニティーアクセス スクリュー・RXJ-70 × NX-70S(角膜:3.2mm~/強角膜:3.0mm~)
  • エタニティーシリーズ6.0mm(3P)
    1. エタニティーアクセス スクリュー・RXJ-60 × NX-60(角膜:2.8mm~/強角膜:2.6mm~)
    2. エタニティーナビ・XJ-60 × NX-60(角膜:3.0mm~/強角膜:2.8mm~)
    3. アキュジェクト・MXJ-60Ⅲ × NX-60(角膜:2.7mm~/強角膜:2.5mm~)

3.試験機器

INJとIOL以外に、本妥当性確認試験に用いた主な機器・用材は以下の通り。

  • 豚眼
  • オペガンハイ
  • スリットナイフ<マニー社製>
    • 2.0mm/2.1mm/2.2mm/2.3mm/2.4mm/2.5mm/2.65mm/2.75mm/2.8mm/2.9mm/3.0mm/3.2mm/3.5mm
  • インナーゲージ<D&K社製、はんだや社製>
    • 1.9~3.5mm *0.1mm単位

4.試験方法・手順

各INJの現状の標準的角膜切開サイズのスリットナイフを用いて、豚眼に角膜一面切開創を作製し、当該INJを用いて併用IOL(+20.0D)を前房内にリリースした。

角膜一面切開創作製後 ならびに IOLリリース後に、インナーゲージを用いて切開サイズを計測し、記録した。

1つのスリットナイフサイズにおいて、この操作を3回繰り返すことで、標準的角膜切開サイズの妥当性を判断した。

5.妥当性の評価

眼内に直接的にチップ刺入できるか否か ならびに IOL挿入時に押し戻す抵抗が認められるか否かで現行標榜の標準的角膜切開サイズの妥当性を評価いただいた。

現行の標準的角膜切開サイズにおいて上記が達成できなかった場合はスリットナイフのサイズを1段階ずつ大きく、達成できた場合において抵抗感がなく余裕があった場合は1段階小さいものを用いて同様の手順を繰り返すことで、妥当と思われる標準的角膜切開サイズを確認いただいた。

尚、チップ先端を切開創口にあてがう際に、チップに若干の回転を加えながら確実に創口にフィットさせるが、それ以降のチップ先端が創口を通過する際は、抵抗を強く感じたとしてもグリグリとチップを回転させてねじ込むことはしないこととした。

試験結果

6.試験結果及び考察

本検討を踏まえた、試験実施者の評価としての標準的角膜切開サイズは以下の通り。

レンティス コンフォートシリーズ

レンティス コンフォートシリーズ

エタニティーシリーズ6.0mm(1P)

エタニティーシリーズ6.0mm(1P)

エタニティーシリーズ7.0mm(3P)

エタニティーシリーズ7.0mm(3P)

エタニティーシリーズ6.0mm(3P)

エタニティーシリーズ6.0mm(3P)

※2 チップをグリグリと回転させてねじ込むと、2.4mmから挿入可能な場合もあるかもしれない との試験実施者の評価コメントあり。

結論、他

7.結論

アキュジェクト ユニフィット・WJ-60MⅡのみ、現状標榜の標準的角膜切開サイズと今回の試験実施者の評価結果とに明らかな乖離を認めた。標榜する角膜:2.4mm~は、チップをグリグリと回転させて刺入すれば達成できなくはないが、標準的ではないと考えられた。WJ-60MⅡについては、先に実施した社内検討「レンティス コンフォート用インジェクターの標準的切開サイズに関する妥当性確認(MD-RPT-11257)」においても同様の結果が得られており、適正使用の観点から今後標榜する標準的角膜切開サイズを“角膜:2.4mm~ ⇒ 角膜:2.65mm~”に改訂することが望ましいと考えられた。

他の製品については、現状標榜の角膜切開サイズを変更する必要性は低いと考えられた。

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