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眼科医の書棚 ~先輩Drおすすめコンテンツ~
眼科医の書棚 ~先輩Drおすすめコンテンツ~ Vol.6
vol.6 KOLの手術動画をYouTubeで/解剖知識の詰まった1冊
九州大学病院 眼科 助教の田邉 美香先生より、KOLの手術やレクチャー満載のYouTubeチャンネル、解剖知識の詰まった1冊、眼瞼・結膜腫瘍の日常診療で役立つ1冊、をご紹介いただきました。
九州大学病院 眼科
1. Wills Eye Hospital(YouTubeチャンネル)
- ジャンル:WEBサイト・手術/レクチャー
タイトル:『Wills Eye Hospital』 URL:https://www.youtube.com/user/WillsEyeOnline
Wills Eye Hospitalは米国のペンシルバニア州フィラデルフィアにある眼科病院です。眼腫瘍でご高名なCarol L. Shields先生、Jerry A. Shields先生が勤務されています。このYouTubeチャンネルは、両先生のレクチャーや手術動画を閲覧できる貴重なWEBサイトです。
ここに掲載されている手術動画は大変参考になります。例えば、Carol L. Shields先生が原発性後天性メラノーシスから発生した結膜メラノーマを切除し羊膜で結膜表面を再建する動画“Management of Conjunctival Melanoma(https://www.youtube.com/watch?v=SuU3uWc5f7E)”を見たことで、論文に記載されている"no-touch" technique, double freeze-thaw cryotherapyがどういうものか、さらに理解が深まりました。
高名な先生のレクチャーや手術ビデオだけではなく、Chiefs Roundsという症例カンファレンスのディスカッション動画は、英語のリスニングの勉強にもなります。
個人的なおすすめは、Carol L. Shields先生がなぜ眼腫瘍を専門にしたのかを語る動画(https://www.youtube.com/watch?v=_DwEUgW87TE)です。この中で、“I like the idea that we're not just saving vision but we're saving lives.”(我々はただ視力を回復させているのではなく命を救っているのだ、という考え方が好きです)とおっしゃっていたことに励まされました。
手術の参考に、英語の勉強に、と役立つ動画が満載ですので、ぜひご覧になってみてください。
2.『Atlas of Clinical and Surgical Orbital Anatomy』
- ジャンル:書籍・眼窩/眼瞼/涙道の解剖
タイトル:『Atlas of Clinical and Surgical Orbital Anatomy』(8.5 × 0.75 × 11 inches/280頁)
著者:Jonathan J. Dutton
出版社:ELSEVIER
出版年:2011年
ISBN:978-1437722727
本書には、眼瞼、眼窩、涙道の手術で必要な解剖の知識がすべて詰まっており、骨、筋肉、動脈、静脈、神経ごとに分けられているため視覚的にも理解しやすい内容となっています。
特長としては、Figureが整理されていて美しく、とてもわかりやすい点が挙げられます。例えば、眼瞼の解剖では、瞼板、ミュラー筋、挙筋腱膜、眼窩隔膜と層ごとに異なるFigureで描かれており、これから手術を始める先生にもイメージがつきやすいと思います。Figureは患者さんへの説明にも使用できる明瞭さです。Figureがとても見やすいことに加え、アジア人と欧米人の解剖学的違いなどに言及している説明文も興味深く読み進められます。
眼形成手術を始めるときに、本書のfirst editionを読み、眼窩、眼瞼、涙道の解剖の理解を深めることができました。また、手術前後に何度も見直し、実際の術中所見と比較しました。
私はハードカバーを持っていますが、電子書籍も販売されていますので、使いやすいほうを手元に置いて活用していただくとよいと思います。
3.『眼瞼・結膜腫瘍アトラス』
- ジャンル:書籍・眼瞼/結膜腫瘍
タイトル:『眼瞼・結膜腫瘍アトラス』(A4版/176頁)
著者:後藤 浩
出版社:医学書院
出版年:2017年
ISBN:978-4260032223
一言で言うと「日常診療で診る眼瞼・結膜腫瘍を写真で疑似体験できる本」です。眼瞼・結膜腫瘍に遭遇した際に、本書を開けば多くの鑑別診断を挙げることができると思います。
眼瞼・結膜腫瘍の写真は、臨床写真のみならず病理組織像も数多く掲載されています。また、代表的な眼瞼基底細胞癌や脂腺癌に加え、結膜の神経線維腫や神経鞘腫などの稀な腫瘍も掲載されており、一読の価値があります。私は、眼腫瘍の診療で最も大切なことは視診による臨床診断、鑑別診断を挙げる力と考えており、本書から教わることが多くあります。ページをめくるたび知識の幅が広がりますので、眼腫瘍診療に自信がつくと思います。
本書には著者である後藤先生の「ひとり言」というコラムが16点ほど掲載されており、日常診療で生じる事例に、どれもうなずいてしまう内容です。この本を読んで、「やはり眼腫瘍は面白い」と感じることができました。
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