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眼科医の書棚 ~先輩Drおすすめコンテンツ~

眼科医の書棚 ~先輩Drおすすめコンテンツ~ Vol.10

Vol.10 神経眼科領域で役立つ画像解剖書/神経眼科学の入門書/症例報告や最新情報を掲載した学会誌

神戸大学医学部附属病院 眼科 助教の盛 崇太朗先生より、神経眼科領域で役立つ画像解剖書、神経眼科学の入門書、症例報告や最新情報を掲載した学会誌をご紹介いただきました。

選者盛 崇太朗先生神戸大学医学部附属病院 眼科 助教
<選者>盛 崇太朗先生
神戸大学医学部附属病院 眼科 助教
※2025年2月現在

1.『正常・変異・異常との比較で読影に役立つ! 頭頸部画像解剖ナビゲーション』

神経眼科領域で役立つ画像解剖書

ジャンル:書籍・画像診断
タイトル:『正常・変異・異常との比較で読影に役立つ! 頭頸部画像解剖ナビゲーション』(B5判/352頁)
編集:尾尻 博也(監修)、久野 博文(編・著)
出版社:Gakken
出版年:2021年
ISBN:978-4-7809-0425-3

神経眼科は画像検査が眼球運動障害や視神経症の精査において重要な役割を果たしますが、MRIなど画像の読影が難易度を高くしている側面があります。

本書は、放射線科医を対象とした頭頸部造影画像を解説した実践的な画像解剖書です。しかし眼科医においても非常に有用な画像読影のための1冊となるため、本書を推薦いたしました。第1章では広域アトラスとして頭頸部領域の代表的画像が示され、第2章では各解剖領域における正常および代表的疾患の画像が紹介されています。CT/MRI画像の解剖構造が丁寧なシェーマと共に記載されているため、解剖学の理解に適した書籍といえます。さらに、正常/変異/異常が併記され眼科領域の解説も充実しているため、画像読影の際にも役立ちます。眼科に特化したセクションには、視神経や眼球、眼窩骨、外眼筋、眼窩内血管、涙腺/涙道などの詳細な解説も含まれています。例えば、視神経炎では左右比較が容易な冠状断画像が有効であるなど、画像解釈のための多くのヒントを本書から得ることができます。

私自身、頭蓋内腫瘍を発見した際には、本書で得た解剖知識をもとに脳神経外科に適切なコンサルトが可能になり、信頼関係の構築にも役立ちました。さらに、上眼静脈の拡張を見つけた際に想定すべき疾患の指摘など、臨床医としての視点も多く盛り込まれており、本書作成のために放射線科医と臨床医のディスカッションを反映した熱意を感じます。画像診断の機会が多い神経眼科を志す方は、ぜひとも手元に置いておきたい1冊です。

2.『神経眼科学を学ぶ人のために 第4版』

神経眼科学の入門書

ジャンル:書籍・神経眼科
タイトル:『神経眼科学を学ぶ人のために 第4版』(B5判/400頁)
著者:三村 治
出版社:医学書院
出版年:2024年
ISBN:978-4-260-05698-4

本書は神経眼科学の解剖、診察法、各疾患の症候学に関する解説を網羅した入門書です。2024年の第4版改訂では、最新情報が追加され内容がさらに充実しました。取っつきにくい神経眼科を体系的かつ分かりやすく解説した構成、調べやすい工夫が凝らされており、神経眼科領域の初学者から経験者、はたまた一般眼科医にも幅広くおすすめできる神経眼科診療を容易にしてくれる信頼の成書です。

神経眼科疾患は頻度が少ないものの、見逃すと視機能のみならず生命に影響を及ぼすため、診療のハードルが高くなりがちです。本書は、このような高い敷居を少しでも下げるために執筆された、故三村 治先生の情熱と献身が感じられる名著となっています。神経眼科医だけでなく、クリニックや眼科を掲げる病院にも必携の1冊であり、若手ドクターはぜひご自身で所有し活用してほしいです。

また専門医にとっても、関心を引く最新トピックを特集した「Close Up」セクションがあり、異常光視症など、時折遭遇する厄介な眼科疾患の対処法が明確に示されているため、学びが多く楽しんで読み進められます。眼科医としての知識を深めるだけでなく、日々の臨床において的確な診療を支える成書として、必ず役立つでしょう。

3.『神経眼科』

症例報告や最新情報を掲載した学会誌

ジャンル:学会誌
タイトル:『神経眼科』
編集:学会誌編集委員会
発行:日本神経眼科学会

症例報告や最新の神経眼科疾患に関する総説を収録した日本神経眼科学会の学会誌です。会員であればオンラインで無料閲覧できます。また、非会員の方は同学会事務局ですべての号(バックナンバーを含む)を購入することができます。毎年行われる日本神経眼科学会総会においては、症例報告が豊富で、「相談症例」セクションでは専門家も頭を悩ますような複雑な症例が取り上げられ、ディスカッションが活発に行われています。難解な疾患に対して多面的なアプローチを学べる貴重な機会であり、神経眼科学の楽しさや奥深さが存分に味わえます。珍しい症例の解決法に触れることで神経眼科が難しい分野でないことを知ることができ、神経眼科学の実践に直結する知識が得られます。

私は、神経眼科医は探偵のようなものだと感じています。病名という“犯人”を見つけ出すのが仕事ですが、時には答えが見つからないこともあります。しかし、本学会誌に掲載されている症例報告は答えや詳細な解説があり、まるで推理小説を読むような感覚で楽しむことが可能です。私自身、「こんな症例が来たらどうしよう」と思いながらも、次の検査や治療の選択肢を想像して堪能しています。「不思議の国のアリス症候群」や「羞明の鑑別」、「意外な〇〇が有効だった」など、日常診療ではあまり耳にしない用語や症例が登場し、勉強というより犯人探しを楽しむつもりで学会誌を軽く読み進めています。こうした珍しい症例の集積が、日常診療での患者のちょっとした不調の解決に役立つことがあり、気づけば立派な神経眼科医としての技量が身についています。この楽しさと奥深さを、ぜひ皆さんにも日本神経眼科学会に入会し、味わっていただきたいです。

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