社員とともに

全社員が目について深く考える機会を提供

当社は、眼科領域に特化したスペシャリティ・カンパニーです。目隠しをして視覚を完全に遮断した状態やロービジョンなど、さまざまな見え方を社員が体験し、見えることの大切さ、さまざまな見え方をする人々の生活などの工夫について知り、行動するきっかけを全社員対象の独自の研修を通じて提供しています。

全社員対象 Vision Experience Weeks

 

Santenは、2023年10月9日から10月20日まで、社内イベント「Vision Experience Weeks」を開催しました。全てのSanten従業員を対象とするこのイベントは、「見える・見えない」について学び、体験し、共有することを通じて、目の健康の大切さについて考えるとともに、職場や身の回りにいる視覚に障がいがある人々への理解を深め、他者への思いやりの心を育むことを目的としています。

世界各地で目について考える機会を提供

 

世界60を超える国と地域で事業を展開する当社では、さまざまな地域・グループごとに目について深く考える機会を提供しています。例えば中国において、目隠しをして歩く体験は、当社ビジョンの理解を深めるため、新入社員研修の中でも重要なパートです。EMEAでは、2021年から、視覚に障がいのある学生のインターンシップを開始しました。インターンの学生との交流はもちろん、社員の学びにもつながっています。

親子でHappiness with Visionについて話し合う

 

当社では、ファミリーイベントを開催し、親子でHappiness with Visionについて話し合う機会を設けました。「見る」って何だろう、「見る」ことで何ができるだろう、視覚に障がいのある人々の生活ってどんなことだろう、などさまざまなことについて、アイマスク体験をしながら話をしました。このイベントは子どもたちにとっての学びだけでなく、社員にとっての新たなアイデアにつながっています。

交流体験などを通じて目について考える機会を提供

 

ブラサカキッズキャンプは、視覚障がいのある子どもたちを対象とした、特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会が主催する1泊2日のスポーツ合宿です。多くのSanten社員が、子どもたちのサポーターとして毎回参加をしています。キャンプでの交流を通じて、患者視点や人中心の考え方を養います。例えば、視覚障がいといっても様々な見え方があることを知り、また、保護者の苦労や悩みを聞くことで、患者さんやその周りの方々の視点を少しずつ理解することにつながっています。

視覚に障がいのある従業員の活躍

当社では、複数の部署で視覚障がいのある従業員が活躍しています。当事者目線を活かして、視覚障がいに関する啓発活動を社内外に向けても行っています。

眼科学会におけるシンポジストとしての講演

 

Santenの取り組みに対する認知が拡がり、2023年10月9日に日本の二大眼科学会のひとつである、日本臨床眼科学会で、当社社員であるモハメド・アブディンが、学会運営プログラムのシンポジストのひとりに指名されました。講演では、中途失明の視覚障がい者にとっての課題について、当事者目線で熱く伝えられました。

視覚に障がいがある当社従業員へのインタビュー

 

研修や出張先で、アイマスクをして、視覚を遮断して「見えない体験」をしてもらいます。この業務に携わる中で、気づいたことを教えてください。

葭原
健常者が視覚障がい者を見かけた時に、何かをしたいと思ってくれる人は多いのですが、身近にいないために実際には何をすればいいのかわからず、行動に移せないという人が非常に多いと気づきました。

その気づきに対して参加者に何かアドバイスされていますか。

葭原
「声掛け」の重要性を伝えています。特にアイマスクをして視覚を遮断した見えない体験をすることは参加者にとってその重要性を実感できる場となっています。視覚障がい者にとって、周囲の状況やどこに誰がいるのかを認識することは困難です。視覚障がい者が困っている様子であれば、是非声を掛けるべきであること、実際にどうすればいいかは聞いてもらえたら解決することを伝えています。

葭原 滋男
基本理念・CSV推進担当、グローバル企画も推進、パラアスリートのレジェンドでもある

 

見えない体験は参加者にどのような価値を提供できるのでしょうか。

鳥居
障がいに対する多くの人々の意識は「無関心」や「無知」です。まず「知る」ことがはじめの一歩で、この一歩は健常者と障がい者の間にある心の壁を減らすための大きな一歩だと思っています。私自身も自分にとって当たり前にできることを積極的に発信することが、参加者に驚きや新たな気づきを提供することにつながっていると感じます。

「心の壁を減らす」ために意識して伝えていることはありますか。

鳥居
見えなくてもできることは多いこと、できるようになるために日々努力と工夫をしていることを意識して伝えています。障がいの有無にかかわらず、みんな同じであることを知ってもらい、「見えない」ことも一つの個性と捉えて交流することで、新たな発見や学びが生まれます。

鳥居 健人
基本理念・CSV推進担当、ブラインドサッカー日本代表であることを活用した企業ブランディングにも貢献している

最後に、お二人の実現したい社会はどのようなものでしょうか。

葭原
視覚障がい者が普通に社会進出し、安心していきいきと生活している社会でしょうか。その社会を築いていくことが、障がいの有無に限らず、困っている人がいたら助けるという意識形成につながっていくと思います。

鳥居
いつか障がいという概念がなくなり、お互いに助け合うことで、すべての人にとって楽しい生活を送ることができる社会を実現したいと思っています。そのためにまずは、当事者である私たちが自分のことを発信し、共有できる機会が必要だと感じています。