色覚異常とは

色覚異常

(先天色覚異常/後天色覚異常)

色覚異常は、早期発見し、状態に合った生活上の対処を行えば、安心安全な生活を営むことができます。 色覚検査が改めて推奨されるようになりましたが、任意の検査となりますので、気になることがもしあれば、まずは学校の先生に相談してみましょう。

後天色覚異常

原因

後天色覚異常の原因は下記のとおり様々な要因があります。

加齢、白内障

加齢による色覚異常は水晶体(目のレンズ)が年とともに黄色く変色すること(白内障)や、瞳が小さくなり目に光が入りづらくなること、網膜の視神経の劣化など複合的な要因によって起こります。
水晶体は年齢を重ねると黄色がかってきます。これは有害光線から目を守るためですが、加齢とともにその黄色は濃くなり80歳代になるとビール瓶のような濃い茶色になることがあります。つまり昼夜にかかわらず常に茶色のサングラスをしているような状態で色覚の劣化につながります。このような状態が進行していくと白内障の手術治療をする必要があります。着色した水晶体は、短波長の光の透過率を減少させます。このため網膜には青い光が到達しにくくなり短波長領域の色の弁別能力が大きく低下し、段々黄色、茶色、赤みがかって見えてきます。また短波長の取り込みが減少すると、朝夕の概日リズムがうまくコントロールできなくなり不眠症などの睡眠障害を引き起こすことがいわれています。

網膜疾患

網膜疾患では錐体が障害を受けて機能するものの数が減っていきます。数が多いL(赤)錐体やM(緑)錐体に比べ、S(青)錐体は全体のわずか数%なので網膜障害の初期から影響を受けやすく青黄色覚異常が起こってきます。
※錐体は明るいところで物を詳しく見るのに適した光センサーです。錐体は3種類(L,M,S)あり、その組み合わせで色を見分けます。

緑内障

緑内障は眼球の内圧(眼圧)が上昇し視野欠損をきたす疾患ですが、眼圧上昇は色覚を司る錐体系にも影響を与えます。神経細胞が大きいほど眼圧の影響を受けやすくL(赤)錐体やM(緑)錐体にまつわる視神経細胞よりS(青)錐体にまつわる神経細胞の方が大きいため、特に影響を受けやすく、結果的に青(S)錐体の機能が大きく低下し青黄色覚異常の状態を呈すると考えられていました。しかし最近、中心部においては、L錐体やM錐体も受けており、L錐体やM錐体の機能も低下することがわかってきました。

視神経疾患

情報の通り道である視神経に疾患があると色の情報は正しく伝わらず、結果的には赤緑色覚異常や青黄色覚異常といった状態があらわれることがあります。

大脳疾患

脳において色を判断する後頭葉の下部に、脳梗塞などの異常が生じることで色覚異常が引き起こされることがあります。具体的な状態としては、見るものがモノクロになります。

心因性要因

精神的なストレスから視力に障害が出て、視覚にも異常が生じることが知られています。小児、児童に多く、視力低下や視野狭窄、色覚の変化などを生じることがあります。

治療

後天色覚異常の治療法はその原因となっているものを治すことで、原因によって治療法は異なります。個人差がある病気なので早めに眼科を受診して色覚異常の検査をする必要があります。
加齢による色覚異常の場合、日常生活の中で黒と紺の色誤認(黒と紺の靴下の色を間違えたなど)がたびたび起こるようであれば、色覚異常やその他の病気の可能性が高いので注意が必要です。

日常生活で注意すること

加齢による色覚異常は自覚する状態もあまりなく、生活の支障度があるわけではないので放置されることが多く、注意が必要な場合があります。

高齢者の火災事故

ガスコンロなどの炎が衣服に燃え移る「着衣着火」が高齢者に多くみられており、原因の一つとして高齢者による色覚の変化が考えられています。ガスコンロの炎は青白い炎が6cmほど立ちのぼって見えるのですが、加齢による色覚異常になると、もっとも高熱である色温度の高い炎の先端の青色が見えなくなり4cmほどしか見えなくなってしまいます。そのため自分では炎との距離を適切にとっているつもりでも、炎の先端が見えないことで結果的に「着衣着火」が起こってしまいます。

(ガスバーナーの炎 見え方の違いシュミレーション 左から20歳、40歳、60歳、80歳)

*理論的にシミュレーションした画像のため、実際にはこのように見えているとは限りません。

高齢者の転倒事故

加齢による色覚異常になると、少し暗いところでは下り階段の最後の段差は影になり、段の境目が認識できなくなり足を踏み外してしまいます。高齢者では運動能力の低下も重なり骨折や脳挫傷などの重大な事故につながるおそれがあります。

(見え方の違いシミュレーション 左から20歳、80歳)

(見え方の違いシミュレーション 左から20歳、80歳)

*理論的にシミュレーションした画像のため、実際にはこのように見えているとは限りません。

高齢者の食欲低下

加齢による色覚異常がすすむと食べ物の色も鮮やかに映らず、おいしそうに見えないことにより食欲の低下を招くことがあります。

(写真ご提供:中京眼科 市川一夫先生)