網膜の不思議

網膜の不思議

網膜はカメラでいうフィルムに相当します。角膜と水晶体で曲げられた光は網膜の上にピントを合わせており、ちょうど網膜の上に外の映像を写しているイメージになります。

昼間と夜では、目のモードが切り替わる

網膜は眼球の後面一番内側の薄い膜で、その厚さはわずか0.1~0.4mmほどしかありません。新聞紙の厚さがおよそ0.1mmですので、そのうすさがわかると思います。でも網膜はこれだけ薄いのに、ハイテク装置並みの機能が満載されています。網膜には光に反応する視細胞が片目だけで1億個以上も存在しており、光の刺激を信号に変えて脳に映像を伝えているのです。視細胞には錐体(すいたい)細胞と桿体(かんたい)細胞の2種類があります。錐体細胞は、明るい場所で色を認識することができますが、暗闇ではそのはたらきが低下してしまいます。逆に、桿体細胞は色を区別できませんが、わずかな光でも感知できるため、暗い所で主にはたらいています。このためヒトは暗い場所では、モノのカタチはわかっても、色がはっきりとはわからなくなります。例えば、映画館にある緑の非常口ランプが不思議とよく目立つと思ったことはありませんか?実は桿体細胞は暗い場所では特に緑の光に反応しやすい性質があるため、ヒトの目には暗闇で緑の光が目立って見えるのです。

昼間にはたらく錐体細胞
夜間にはたらく桿体細胞

戸張幾生:徹底図解 目のトラブル,p105,法研(東京),2001より改変

このように網膜はモノを見る上でとても大切なはたらきをしていますが、糖尿病は網膜に異常を引き起こすことが知られています。網膜には細い血管がたくさん張り巡らされていて、網膜に栄養と酸素を運んでいます。しかし、糖尿病を長い間患うと、この細い血管が詰まってしまい、十分な栄養と酸素を受け取れなくなるため網膜が正常にはたらかなくなります。網膜と糖尿病の関係は、身体の健康が目の健康に密接に繋がっていることを私たちに教えてくれます。