目の健康を考える

目の健康を考える 慶應義塾大学 医学部 眼科学教室 専任講師 小沢 洋子 先生

ドライアイとは、涙の量が減ったり、涙の質が変わったりすることで眼球の表面に傷害が起きる目の病気です。

ドライアイとVDT(VISUAL DISPLAY TERMINALS)の関係について

各作業による瞬目回数の変化

ドライアイとは、乾燥によって目が疲れる、重い、ゴロゴロする、赤くなりやすいといった症状が起こる病気です。目が「肌荒れをしたような状態」ともいえます。最近よくいわれるドライアイの要因の一つに、VDT作業が挙げられます。パソコンなどの画面を長時間見続ける作業によって、目などに影響を及ぼすことが「VDT症候群」と呼ばれ、企業などでも注目されるようになってきました。その一環として、健康診断でVDT健診を行うところもあります。

長時間パソコンやテレビゲームなどの画面をじっと見ていると、まばたきの回数が減少して涙が蒸発してしまいます。普段のまばたきの平均回数は1分間に20回くらいですが、読書時には1分間に10回くらいになり、パソコン作業時は1分間に5回と激減します(図-1)。VDT作業をしている時は、非常に目が乾きやすい環境になっていることが分かります。また涙の分泌が正常であったとしても、蒸発する量が多すぎると乾くため、これがドライアイを引き起こすこともあります。

ドライアイと涙の役割

目は外界に接しているため、常にほこりが入る可能性があります。この状態が続くと目の表面が傷だらけになるので、涙が目の表面に入ったほこりを洗い流し、殺菌をしています。また、涙は目の表面を滑らかにして物がきれいに見えるようにする働きもあります。しかし、長時間パソコンを使う人が幅広い年代に増えてきている上に、年齢が上がると涙の分泌が減少することもあり、ドライアイの症状を訴える人がますます増えています。

乾燥した目は表面が傷つきやすい状態となるため、角膜や結膜の健康が損なわれるので、人工涙液の点眼が必要になります。このような時、ただでさえ乾燥している目に防腐剤が含まれた点眼薬をさすと、乾いた後に防腐剤が残ってしまい、かえって症状が悪化してしまうことになります。点眼薬は、防腐剤の有無にも注意しなければなりません。

ドライアイになってしまったら

まずは目を乾燥させない工夫として、意識してまばたきをすることです。そして、点眼薬を使用して水分を補うことです。さらに加湿器を使用することで、点眼薬の効き目をさらにアップすることができるかもしれません。目の周辺にも湿気を増やすことを考えてみてください。

ドライアイになってしまったら

ここ数年で急増している加齢黄斑変性は、早期発見と予防が大切な病気です。

眼球断面図

目の構造について簡単に説明します。(図-2)目をカメラに例えると、レンズの役割を担うのが水晶体です。物を見る時、この水晶体で焦点を合わせるので、眼底に画像が映ります。これが視神経を通じて脳に伝わるため、物を認識できます。眼底はカメラのフィルムにあたり、ここが傷んでしまうと画像が適切に伝わりません。黄斑はこの眼底の真ん中にあり、視細胞が密になっているところで感度も高く、非常に重要な役割を果たしています。

加齢黄斑変性について

ドライアイと同様、ここ数年で急増しているのが加齢黄斑変性という病気です。加齢黄斑変性の症状は、画像の中央部がゆがんだり、見えなくなるというもので、例えば真っ直ぐな東京タワーを見た時にゆがんで見えたり、真ん中が見えないという症状が現れてきます。

加齢黄斑変性になりやすい人の多くに喫煙する人が挙げられます。肥満やメタボの人、さらに眼底に光を受けすぎて、慢性の炎症が年余にわたり続いている人にも多いと考えられています。

サプリメントによる予防の勧め

今は、予防のためにサプリメントが注目されています。アメリカの研究では、一方の目だけに加齢黄斑変性があったり、両目にその前段階の病変のあったりする患者様を中心に、5年間サプリメントの効果を調べました。サプリメントを飲んだ人は、飲んでいない人よりも加齢黄斑変性の発症率が少なく、病気の進行も25%抑えられたという報告があります。

最近では、ルテイン・ゼアキサンチンやオメガ3も効果が期待されており、特にルテインは注目されています。ルテインとは、力ロテノイドの一種で視細胞が最も集まっている黄斑部分に存在し、体内で生合成できないために外部から取り込まなければいけません。ほうれん草やケールなどの食べ物から摂取できますが、多くの量が必要になるため、ルテイン配合のサプリメントで補うことも一つの手段です。アメリカの研究においても、ルテインの摂取により加齢黄斑変性の発症率の減少が見られました。黄斑部にあるルテインは、抗酸化作用やブルーライトの光を吸収するフィルターとなって私たちの目を守っています。このルテインを配合した「サンテ ルタックス」という商品が参天製薬から発売されています。

ブルーライトの影響について

ブルーライトの影響について

光は物を見るためにはとても大事ですが、害もあります。光を浴び続けると酸化ストレスから遺伝子に傷がついたり、細胞の中でエネルギーを生産しているミトコンドリアが壊れて細胞が死減します。この作用が特に強いといわれているのがブルーライトです。

ブルーライトはスマートフォンやパソコンなど、いろいろなモニターやLED照明などに多く含まれています。昔と違って生活環境の中にブルーライト使用の割合が増えてきたということを知っていただく必要があります。
今研究されているのは、ブルーライト対応のメガネや眼内レンズによる遮へいです。また、照明器具に付けるカバーなどの開発も進んでいます。過敏になる必要はありませんが、知っておくべきだと思います。

さらなる研究のため、慶應義塾大学医学部眼科教授の坪田一男先生がブルーライト研究会を発足させました。どのくらいの量の光が当たるといけないのか、どうやって障害を予防するべきなのかといった研究を対象にしています。