加齢に伴う眼疾患?特に網膜疾病の病態と治療及び対策?

加齢に伴う眼疾患?特に網膜疾病の病態と治療及び対策?竹内眼科クリニック 院長 東邦大学医学部 客員教授竹内 忍 先生

加齢に伴う目の変化

◎老眼・・・・・・・・年齢を重ねると誰にでも起こる(白髪と同じ)症状です。
◎白内障・・・・・・水晶体が濁るという病気です。
◎緑内障・・・・・・先天性を除き、加齢によるもので、早くて40代から変化が生じ視野障害が起こります。
◎眼底の変化・・網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、黄斑上膜がみられます。

病気は加齢が主な原因といえます。年齢とともに細胞が劣化していき、異常な細胞が出てきます。
身体の病気は、大部分が「老化・加齢に伴う変化」といってよいと思います。

目の構造というのは、ビデオカメラの構造と似ています。

近畿大学でのアカントアメーバ角膜炎の症例数

カメラは、レンズがあってシボリがあって、光がその中に入り、カメラの網膜=フィルムに画像を映します。この映った画像を電気信号に変えて、テープやディスクに記録させるわけです。人間の目は、網膜に映った画像をカメラ同様に電気信号で、視神経というコードを通して頭の中に画像を送り、頭で見てるわけです。ですから、視神経が切れてしまうと、電気的反応が遮断され、見えなくなってしまうのです。眼球の奥にある網膜はフィルムに相当し、水晶体はピントを合わせるレンズの役割を担い、レンズを防護するのが角膜です。 *図ー1参照

網膜というのは、生体です。細胞があります。モノを見るために細胞と電気信号を送るための細胞があります。この細胞は酸素を消費しますので、栄養を貰わなければいけません。この栄養補給に大切な役割をしているのが、網膜の血管です。上鼻側・上耳側と呼ばれる動脈があり、網膜の中で少しずつ細くなり毛細血管となり、酸素と栄養を与えてくれます。

網膜静脈閉塞症とは

動脈を通して網膜に栄養と酸素を与えて、そして二酸化炭素や老廃物を持って帰って来る役割をするのが静脈です。その運んでいる途中で、静脈(血管)が詰まってしまう病気が網膜静脈閉塞症という病気で、網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症に分かれます。

網膜中心静脈閉塞症

血管の根元のところで詰まる、非常に重篤な病気といえます。血液の流れが悪いということは、酸素不足になり、網膜に栄養が行き届かないということになります。50歳以上の高血圧の人に好発し、高齢者(70〜80歳代)の方には視力の予後不良がみられます。重篤な視力障害や血管新生緑内障などの合併症も起こりやすいといわれています。

網膜静脈分枝閉塞症

血管の末梢部分が詰まる病気で、罹患者数はこちらが圧倒的に多いといえます。主な原因は動脈硬化がいわれています。静脈と動脈は網膜の中で交差しています。この交差している所で動脈硬化が起こると静脈を圧迫し血液の流れを乱し、血が固まり血栓ができるわけです。血栓は、血管内のゴミのようなものですから、血管が詰まり酸素不足となり血管増殖因子ができ、本来あるはずのない異常な血管が出てきて、新たな出血の原因となります。また、血管が詰まりますと、血管を流れるモノが滲み出し出血が見られることになります。

糖尿病網膜症とは

近畿大学でのアカントアメーバ角膜炎の症例数

血管が傷んで、血液の循環が悪くなり、血液中の水分、たんぱく質、脂肪などが外に滲み出る症状の病気です。
1989年の調査では失明原因の第1位でした。2001〜2004年の調査では第2位になりましたが、人数が減ったわけではありません(表ー1参照)。糖尿病そのものは増加傾向にあります。
糖尿病にかかりますと、血糖値が高くなり結果、血管が傷つき血流が悪くなります。身体中の血管に障害が現れると考えてもオーバーではありません。当然、網膜にも悪影響が出ます。

糖尿病の症状を訴える方には、内科とともに眼科検査の必要性をお話しください。

加齢黄斑変性とは

  • 日本の高齢化に伴って増加している病気です。失明原因第4位(表ー1)です。
  • 眼球奥の中心部の黄斑(図ー1)に異常が起こる非常に厄介な病気といえます。
  • 症状は、モノが歪んで見えたり(図ー3)、視野の中心部が暗く見える(図ー4)などが代表的です。
近畿大学でのアカントアメーバ角膜炎の症例数

加齢黄斑変性は、普通、片側の目は正常であることが多く、片側の目がこの病気にかかっても気づかないことがしばしばあります。また「歳のせいだから仕方がない・・・」と諦めてしまうケースも多く、病気が進行し手術の必要性が高まります。

「黄斑」というところは、モノを見る中心的役割を果たしている部分といえます。網膜は広範囲にわたり画像を映しますが、中心箇所は黄斑で見ています。モノが左右に移動するとき、目を同じように動かすのは、黄斑で見ようとするためなのです。

加齢黄斑変性には、萎縮型と滲出型があります。萎縮型には有効な治療法がなくサプリメント(ルテイン)などで悪化を防ぐ(アメリカなどの調査から報告)、といった具合です。滲出型はレーザーによる手術や新生血管を抑える薬を目に注射するなどの治療が行われています。

加齢黄斑変性の発生因子は加齢です。促進因子としては、やはり加齢、そして喫煙、脂肪摂取、紫外線。最近ではパソコンなどの青色光があげられます。予防にお役立てください。

視力を維持するための4つのポイント

(1)異常を自分で見つけるように心掛ける

ソフトコンタクトレンズの酸素透過率と指標

加齢黄斑変性から視力を守るカギは、早期発見です。進行の早い滲出型でも中心窩に達していない小さな新生血管を早期に発見できれば効果的な治療が行え、視機能の維持・改善の可能性が高くなります。

(2)たばこはやめる

多くの調査研究で、たばこが加齢黄斑変性の危険因子であることがわかっています。しかも15年以上禁煙を続けないと喫煙の悪影響がなくならないといわれています。

(3)亜鉛と抗酸化ビタミンを多めに摂る

亜鉛が豊富な食材(カキなど)や新鮮な濃緑色野菜をなるべく多く食べる。また、ホウレン草やケールに含まれているルテインも有効で、青魚に多いω-3脂肪酸もよいとされています。

(4)サングラスなどで日光から目を守る

強い光、とくに太陽光の中の青い光が網膜に当たると、網膜に有毒物質が溜まりやすくなります。