コンタクトレンズと目薬、消毒液

コンタクトレンズと目薬、消毒液ワタナベ眼科 院長渡邉 潔 先生

「この目薬は、コンタクトレンズ(以下CL)の上からさしてもいいのですか?」「この消毒液は私のCLに使えるの?」と聞かれることが多いと思います。CLの分類は、昔は、ハードとソフトの素材の分類だけで良かったのですが、今は分類方法も多種多様になりました。

まず、知っておいてほしいのはコンタクトレンズの種類(分類)です

素材による分類

コンタクトレンズの種類1

最近は、シリコーンハイドロゲルレンズというCLが増えてきました。CLはどんどん進化しています。
CLのこれまでの変遷を見てみましょう。ハードCLは、1980年まではPMMAという酸素を通さない素材でしたが、角膜内皮障害が問題になり、それ以降はガス透過性ハードCL(酸素を通すCL)になりました。ハードCLは、ここ20~30年は大きな進歩はありません。一方、ソフトCLは含水率38%の低含水ソフトCLでしたが、1980年頃から含水率60%くらいの高含水ソフトCLが出現しました。

コンタクトレンズの種類2

ソフトCLの中を涙が酸素を運ぶため、高含水のほうが眼には安全であったわけです。しかし、高含水ソフトCLにはタンパクなどの汚れが付着しやすいという欠点がありました。
ソフトCLは、2006年以降、さらに進化してシリコーンハイドロゲルレンズに移行しています。シリコーンの中を酸素が移動するため、シリコーンの量が多いほど酸素を通すことになります。
5年くらい前までは、ガス透過性ハードCLのほうがソフトCLより酸素を通すから安全と言われてきましたが、今は、シリコーンハイドロゲルレンズのほうが酸素を通します。

装着方法による分類

装着方法による分類

夜寝るまでにはずす「終日装用」と夜も寝る時も装用し続ける「連続装用」があります。日本では、連続装用は最長6晩までとされています。他に、10年ほど前からオルソケラトロジーと呼ばれる「就寝時装用」のタイプが出てきました。ハードCLを寝ている時だけ装用して、角膜を変形させて近視を軽減する方法ですが、角膜感染症などの問題が多く、一般的にはすすめる眼科専門医はほとんどいません。

スケジュールによる分類

スケジュールによる分類

ハードCLの寿命は1年~4年で、汚れてきたら交換します。一方、ソフトCLは、使い捨てのグループ(ディスポーザブルと頻回交換)と従来型(定期交換と従来型)のグループの2つに分けられます。最長2週間で交換する頻回交換ソフトCLはディスポーザブルソフトCLと素材が似ており、1ヵ月間で交換する定期交換ソフトCLのほとんどは、低含水の従来型の素材と同じです(例外としてO2オプティクスはシリコーンハイドロゲルです)。従来型のソフトCLの寿命は、きちんとケアをしていても約1年と考えています。

目的による分類

近視用、遠視用の球面レンズ以外に、乱視用、老視用などもあります。また、円錐角膜用、オルソケラトロジー用、治療用、おしゃれ用のカラーCLがあります。おしゃれ用カラーCLは、2011年3月までは承認の得ていないカラーCLがおもちゃ用として販売されていました。

以上のようにCLの種類は様々であり、ケアの方法もそれぞれ異なり、ケア用品や点眼薬の選択も異なってきます。

薬局薬店での販売について

OTC医薬品

薬剤師などからの適切な情報のもと、自らの判断で購入し、自らの責任で使用する医薬品をいい、軽度な疾病の症状改善、発症の予防、QOLの改善、健康の維持増進、自己検査などを目的とする医薬品です。

「コンタクトレンズの上から目薬をさしてもいいのですか」

説明書には、ソフトCLの上から点眼してもよいかなどの記載があります。お客様にはルールに従った使用を勧めてください。

涙液型点眼薬と一般治療薬の区別

涙液型点眼薬と一般治療薬の区別

生理食塩水に防腐剤を添加した「涙液型点眼薬」はすべてのCLの上から点眼しても良いのですが、OTCの一般治療薬は薬剤の吸着や血管収縮剤の副作用が心配なため、CL上からは点眼しないように指導しています。血管収縮剤は、点眼した時に充血がとれたように見えますが、効果が切れた時にはリバウンドで充血がひどくなることもあります。一般治療薬の防腐剤としてベンザルコニウム塩化物がよく使われますが、これはCLに吸着すると角膜上皮に対して毒性を持つのでCL上からの点眼は勧めません。また、クールと書いてある点眼薬は、スカッとする成分としてL-メントール以外に毒性の強い香料が少量入っているものもあるので注意が必要です。

「1年前の目薬を使っていました」

防腐剤の入っている目薬は、通常、開封したら1ヵ月で捨ててもらいます。ソフトサンティア点眼薬は、防腐剤が入っていないので10日で捨ててもらいます。

洗眼薬について

洗眼薬について

アイカップを使うために、眼のまわりの睫毛や皮膚の汚れを眼に放り込むことになり、洗眼後のほうが涙が汚れることがあります。片眼に使用した洗眼液を反対の眼に使用しないように書かれているのは、そのような理由があるからです。また、ベンザルコニウム塩化物が点眼薬の5~10倍も入っています。涙の油の層やムチン層もはがしてしまうので、ドライアイが悪化する場合もあります。長時間の洗眼や頻回にするのはお勧めできません。
また、2年ほど前から、学校のプールの授業で泳いだ後に水道水で洗眼するのは勧めていません。水道水は、涙と浸透圧が異なり、角膜の細胞を障害するという論文が多く出てきたからです。ゴーグルをして水泳をすることを勧めています。

消毒液について

消毒液は、眼への安全性と消毒力のバランスをとるのが開発の一番の問題になります。消毒力が強いほど角膜の細胞に対する毒性も増えるからです。
消毒液の箱には、日本では必ずレンズケースが入っています。これはおまけで付いているわけではなく、1ヵ月ごとくらいにレンズケースも新品にしてもらうためです。我々、日本の眼科医がメーカーに強く要望して実現しました。レンズケースは、毎日、水道水で十分に洗って、濯いで、乾燥させます。

スタッフの安全のために

充血があって、目薬を買って帰ったお客様のお金を触った場合、すぐに手を洗いましょう。ウイルス性の結膜炎であった場合、接触感染を起こすからです。また、髪の毛が顔に当たるスタッフがいれば、感染を起こしやすいので注意してあげてください。汚い手で眼を触ることはなくても、汚い手で髪の毛を触り、その髪の毛が眼にあたるからです。