ドライアイとコンタクトレンズと眼障害

ドライアイとコンタクトレンズと眼障害 宇津見眼科医院 院長 日本眼科医会 常任理事宇津見 義一 先生

ドライアイというのは、実は身近な症状です

オフィスワーカー約1,000人を調べますと、約3人に1人がドライアイ(疑い例を含む)。日本の全人口ですと大体2,200万人といわれております。ドライアイは実際には若い人より、やはりお年寄りの人の方が多い。涙液の分泌も低下し、目の表面の油の出も少なくなるからです。また若い人では、男性より女性が多いというデータがあります。
ドライアイの症状は、軽微な症状が多いともいえます。ショボショボする・ぼやける・痒い・目やにが出る・痛い・目が熱い・・・など。注目してほしいのは、目が疲れる、という点です。ドライアイの約50%の人は目の疲れを症状としてあげます。さらには、涙が出て困るとも。なぜドライアイなのに涙が出るのか? それは目の表面が乾燥することにより、目が刺激され涙が出てくるというわけです。

コンタクトレンズのメリット・デメリットです

コンタクトレンズの種類1

コンタクトレンズ(以下CL)にはご存じの通り、ハードレンズ(以下HCL)とソフトレンズ(以下SCL)があります。HCLは水を吸いませんのでCLと角膜の間の涙液は乾燥しません。ただCLの表面は乾きます。SCLの場合は、水を含む性質があるために眼表面の涙液を吸収して、さらにレンズの表面から蒸発してしまうので、目が乾燥しやすくなります。ドライアイの方がCLを装用すると眼障害が増加しますので、注意が必要です。

コンタクトレンズ装用者の急増!!2009年 約1,500~1,800万人

CLの装用者は、使い捨てのレンズが発売されて以来飛躍的に伸びています。2009年には約1,500万人~1,800万人、つまり10人に1人は装着しているということになります。CLにはHCLとSCLがありますが、HCLは安全といわれています。目に傷がつくと痛くて入れていられないので直ぐはずします。それに比較して、SCLは装用感が良く、目に優しいと思いがちです。ただ傷ができたとき、バンデージ効果(傷を覆い隠してしまう・痛みがすぐ出ない)があり、かなり悪くなってから気がつくことになりますので注意が必要になります。

コンタクトレンズの種類2

例えば従来型レンズ。1~2年装着するタイプです。目の中はキレイだと思いますか?確かに細菌はいませんが、あまり悪さをしない常在菌がいます。CLはその日のうちに捨ててくれればよいのですが、ケースに入れると細菌が繁殖します。まぶたのマイボーム腺というところから、油が出ています。そして涙液の中にはたんぱく質もあります。CLは目に入れるわけですから、当然そうしたものが付着してくるために、1~2年使っていますと大変なことになります。同じ下着を1年間着たらどうです?汚くて着てられないはずです。CLだから大丈夫ということはありません。やはり理想的なのは、1日使い捨てのレンズです。

ただ1日使い捨てレンズの装着者でも大体2割~3割の方は何日も使っており、非常にまずいといえます。1994年に発売された1週間使い捨てレンズですが、合併症が多くて今はあまり使われていません。いま一番普及しているレンズは、2週間交換レンズです。毎日ケアをし、2週間したら捨てる。定期交換レンズは、毎日出し入れをし、1カ月~3カ月、人によっては半年間装着します。定期交換レンズというのは、1~2年よりは短いからよいだろうということです。

成長と目の大きさと、コンタクトレンズ

日本眼科医会では、平成12年から全国でCL装用調査を3年間隔で行っています。対象数は約10万人であり、有益なデータが出ています。小学生での装着はまだ少なく、中高生へと進むにつれ年々増えています。これは、安全面を考えて親が買ってあげないわけです。小学生にCLはまだ早い、ということでしょうか。そして近視になる人も中学生と比較してまだまだ少ないのです。

近視の原因には眼軸説というものがあり、目が大きくなることにより近視になるという説です。小学1年生ですと、遠視と近視が50:50。6年生ぐらいになると大体6割~7割が近視です。高校3年生ぐらいになると、8割が近視になってしまいます。子供の頃は背も小さいけれど、目も小さいのです。ですから、眼軸説で唱えられていることが近視の一番大きな原因といえます。ですから大人になっても近視は治らないのです。

平成15年度、全国の感染性角膜炎261例のCL装用者は109例41.8%。10歳代では、96.3%が、20代では89.8%がCL装用者であった。

CL装着による感染性角膜炎

角膜は透明ですが炎症が生じて炎症が治まっても、角膜が白く濁ったままで治るケースが少なくありません。例えばラップをグチャグチャにして、元に戻しても全く透明に戻らないのと同じことです。角膜というのはコラーゲン線維が平行に走っていて、そこに炎症が起きると、その配列が乱れて濁って残ってしまいます。角膜の中央部分でなければよいのですが、CLの眼障害の怖いところは、角膜が白く濁ったままで治癒した場合、永久的な視力障害が起きてしまうということです。

正しいケアで眼障害を予防

CL装着による感染性角膜炎

コンタクトレンズの種類1

HCLは消毒していないということを知っていますか?HCLはこすり洗いをし、保存液を入れたケースに入れます。ですから、洗浄の仕方が大切になります。洗浄方法では、親指と人差し指と中指の3本でレンズをつまんで洗いますが、それでは汚れが落ちにくいのです。手のひらの上に置き、人差し指の指先で片面30回以上こすり洗いをしてください。反対面も忘れることなくこすり洗いを繰り返してください。
SCLの洗浄は特に大切です。HCLと同じように、手のひらと人差し指の指先で、片面20回以上のこすり洗いが基本です。破れやすいレンズもありますので、力の入れすぎに注意してください。

洗浄と消毒は異なります

消毒とは、微生物を死滅、増殖を阻止することです。汚れを落としてから消毒をしないと効果がありません。消毒が汚れを落とすと思いこんでいる方がいますので、丁寧な説明が必要です。そして意外な盲点なのが、レンズケースです。レンズだけではなく、ケースも思いのほか汚れます。ケースも毎日洗い、フタをはずし逆さまにして斜めに立てかけて乾燥することが非常に大切です。

保存方法は

HCLは、保存はするけれども消毒はしないのです。ですので、保存方法が大切になります。HCLの保存液の主成分は、濃度の高い界面活性剤で、汚れの除去と細菌の増殖を抑えます。つまりケースの中は非常に汚れているといえます。一方SCLの保存液は主成分が塩化ナトリウムであり、SCLは保存液の成分を吸収しますので注意が必要です。