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色覚異常とは

色覚異常 (先天色覚異常/後天色覚異常)

色覚異常は、早期発見し、症状に合った生活上の対処を行えば、安心安全な生活を営むことができる疾患です。 色覚検査が改めて推奨されるようになりましたが、任意の検査となりますので、気になることがもしあれば、まずは学校の先生に相談してみましょう。
  • 色覚異常とは
  • どうやって調べるの?
  • 先天色覚異常
  • 後天色覚異常

色覚異常とは

色覚異常とは

色覚異常とは、正常とされる他の大勢の人とは色が異なって見えてしまう・感じてしまう状態のことをいいます。そのため色の区別がつきにくい場合があり、日常生活に支障をきたしてしまう可能性があります。物を正常にみるためには、視力・視野・色覚の三つの機能が必要ですが、色覚異常とはこの三つの機能のうち、色覚に異常がある状態です。
色覚異常には、先天色覚異常と後天色覚異常があります。原因が遺伝的なもので、生まれつき異常があるものを先天色覚異常、他の目の病気の一つの症状として色覚に異常が出るものを後天色覚異常といいます。
先天色覚異常は日本人男性の20人に1人(5%)、日本人女性の500人に1人(0.2%)といわれており、また後天色覚異常も、色覚異常の症状を呈する他の眼の病気の有病率から考えると、決してまれではありません。とりわけ、加齢の延長線上にある白内障は全人口に対して30%を超える割合(80歳以上では100%)で所見が見られ、その中でも視力が低下しているものに関しては色覚異常もあると考えられ、高齢者のかなりの割合が加齢による色覚異常を有していると考えられます。
特に先天色覚異常は自覚しにくい場合が多いため、まずは検査を受けて色覚異常かどうかを知り正しく理解することが大切です。早期発見し、症状に合った生活上の対処を行うことで、安心安全な生活を営むことが可能です。

  1.  
  2. 先天色覚異常
  3. 後天色覚異常
原因
先天色覚異常
疾患そのもの。正常とは質的に異なる。
後天色覚異常
加齢、ある病気の一つの症状として起きる。正常な状態から量的低下。
症状
先天色覚異常
両眼性で差が無い。病気は進行しない。他の視機能(視力・視野)は正常。
後天色覚異常
病気の疾患度合により左右差がある。一眼のみの障害もある。しばしば視力・視野に異常が起こる。
その他
先天色覚異常
他者に指摘されたり検査を受けない限り、自覚できない場合が多い。
後天色覚異常
色覚異常が起きたことを自覚できるが、加齢によるものでは自覚していない。

区別がつきにくい色の組み合わせ

色覚の異常にはいくつかの種類があり、その種類によって見え方が異なります。種類には1型色覚、2型色覚、3型色覚があります。

1型色覚:

赤に敏感な視細胞(L錐体)の機能に異常がある

2型色覚:

緑に敏感な視細胞(M錐体)の機能に異常がある

3型色覚:

青に敏感な視細胞(S錐体)の機能に異常がある

錐体は明るいところで物を詳しく見るのに適した光センサーです。錐体は3種類(L,M,S)あり、その組み合わせで色を見分けます。

区別がつきにくい色の組み合わせは、茶と緑、緑と灰色・黒、赤と黒、橙と黄緑、ピンクと灰色・白、ピンクと水色、赤と緑、青と紫があるといわれています。

「区別がつきにくい色の組み合わせ」

赤と黒、ピンクと水色は1型のみ。
色覚異常の種類や症状の度合い、本画面を見る環境によっても異なります。

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どうやって調べるの?

どうやって調べるの?

先天色覚異常は生まれつきの感覚なので、本人にはなかなか気付きにくいものです。色覚異常かどうか、簡易検査を行っている学校もありますので、学校にご相談ください。
また、詳しく相談したい場合にはお近くの眼科を受診し、適切なアドバイスを受けましょう。ただし、色覚検査を行っていない場合もありますので、その場合には検査や指導を行っている眼科を紹介してもらいましょう。
後天色覚異常の場合にも、見え方に変化が生じた際には、同様に眼科を受診しましょう。
検査には下記のようなものがあります。

色覚検査表を用いた検査(石原色覚検査表・標準色覚検査表)

(石原色覚検査表)1
この写真は実際の検査表とは色調が異なるため、検査には使用できません
1)公益財団法人 一新会 編 (2013) 『石原色覚検査表?U 国際版38表』 株式会社半田屋商店.(公益財団法人 一新会から許可を受けて引用)

(標準色覚検査表)2
この写真は実際の検査表とは色調が異なるため、検査には使用できません
2)著:田邉 詔子・市川 一夫 原著:深見 嘉一郎 (2016) 『SPP 標準色覚検査表 第3部 検診用』 医学書院. 

色相配列検査(パネルD-15)

ランタン・テスト

アノマロスコープ

(アノマロスコープ:(左)ナーゲルアノマロスコープ、(右)ナイツアノマロスコープ)

(写真ご提供:中京眼科 市川一夫先生)

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先天色覚異常

先天色覚異常

原因

先天色覚異常の原因は遺伝学的に明らかにされています。眼や髪の色と一緒で生まれる前から定められており一生変わることはありませんので治療によって変えることはできません。

治療

先天色覚異常は科学的に根拠のある有効な治療法はありません。しかし自分の特性を知ったうえで適切に対処していくことで日常生活の困難やトラブルを避け日常的にはほとんど不自由のない生活を送ることができます。そのためには早期発見が大切です。また、色覚についての一般的な知識を正確に知っておくことが重要です。

日常生活で注意すること

  • 色を間違えやすい条件としては、薄暗い環境、物の大きさが小さい、色がくすんでいる、等があります。明るい場所で色を判別させたり、暗い場合には照明を明るくして確認させるようにアドバイスしましょう。色について会話するときには、何色かを問い詰めたり、色の間違いを叱責したり等、子供を傷つけることは避けるようにしましょう。クレヨン等の画材を使うときは、色の名称が記載されているものを使用し、記載されている色の名称を参考にするようにアドバイスしましょう。
  • 日常社会で使われているシグナルや警告サインの多くは、残念ながら色覚異常の方に配慮されているわけではありません。特に、信号には注意が必要です。正常な色覚の方にとっては赤と緑は最も違いがわかりやすい色であり、赤は止まれ、青(緑)は進め、と設定されています。しかし皮肉なことに、先天色覚異常の多くの方が最も苦手とするのが、赤と緑という組み合わせです。事故につながる危険がありますので、注意が必要です。横並びの信号灯の場合は色光の配列で見分けることができますが、そうでない場合、海外では信号の並びが逆になる場合があります。
  • 大人になったときでも、色覚異常の見え方を理解することで、日常生活において「間違えそうな場面」がある程度わかるようになります。たとえば、ネクタイや服の色に関して家を出る前に家族に確かめる、伝票の色が見えにくい場合、見分けられるように自分なりの印をつける、といった対策をとることができれば、日常生活のトラブルは少なくなります。
  • 運転免許取得について・進学や職業選択で注意すること
    普通自動車(第一種)はほとんど取得が可能です。進学については、どの大学にも原則として進学可能です。理工系、医歯薬系の大学でも進学は可能です。職業選択にあたっては、本人の希望を尊重して、職種を制限しないことが基本となります。一方で、職種の中には、職業の特性上、色覚異常が問題となる職種があります。(例:電車の運転士・飛行機のパイロット・自衛官・警察官・消防士など) また、色覚異常がハンデとなる職種もあります。(例:印刷・塗装・線維工業・野菜や魚の鮮度の選定など微妙な色識別を要する職種) 地域によっても異なりますので、その都度確認することが必要です。職業の適性の観点から、自身の色覚の程度・傾向や、色覚についての正確な情報を得ておくことが重要となってきます。また、進路の選択に関わってくることですので、早めに知っておくことが大切です。
    ここ10数年の間、学校における色覚検査は施行義務がなくなっていたこともあり、多くの学校で色覚検査が行われてきませんでした。そのため、先天色覚異常の方は自身の色覚の違いに気付かず、進学・就職において様々なトラブルが発生した経緯がありました。これを踏まえて、平成26年に、文部科学省から学校における色覚検査についての積極的な周知が通知されたことから、今後多くの学校において色覚検査が実施されることが予測されています。

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後天色覚異常

後天色覚異常

原因

後天色覚異常の原因は下記のとおり様々な要因があります。

加齢、白内障

加齢による色覚異常は水晶体(目のレンズ)が年とともに黄色く変色すること(白内障)や、瞳が小さくなり目に光が入りづらくなること、網膜の視神経の劣化など複合的な要因によって起こります。
水晶体は年齢を重ねると黄色がかってきます。これは有害光線から目を守るためですが、加齢とともにその黄色は濃くなり80歳代になるとビール瓶のような濃い茶色になることがあります。つまり昼夜にかかわらず常に茶色のサングラスをしているような状態で色覚の劣化につながります。このような状態が進行していくと白内障の手術治療をする必要があります。着色した水晶体は、短波長の光の透過率を減少させます。このため網膜には青い光が到達しにくくなり短波長領域の色の弁別能力が大きく低下し、段々黄色、茶色、赤みがかって見えてきます。また短波長の取り込みが減少すると、朝夕の概日リズムがうまくコントロールできなくなり不眠症などの睡眠障害を引き起こすことがいわれています。

網膜疾患

網膜疾患では錐体が障害を受けて機能するものの数が減っていきます。数が多いL(赤)錐体やM(緑)錐体に比べ、S(青)錐体は全体のわずか数%なので網膜障害の初期から影響を受けやすく青黄色覚異常が起こってきます。
錐体は明るいところで物を詳しく見るのに適した光センサーです。錐体は3種類(L,M,S)あり、その組み合わせで色を見分けます。

緑内障

緑内障は眼球の内圧(眼圧)が上昇し視野欠損をきたす疾患ですが、眼圧上昇は色覚を司る錐体系にも影響を与えます。神経細胞が大きいほど眼圧の影響を受けやすくL(赤)錐体やM(緑)錐体にまつわる視神経細胞よりS(青)錐体にまつわる神経細胞の方が大きいため、特に影響を受けやすく、結果的に青(S)錐体の機能が大きく低下し青黄色覚異常の症状を呈すると考えられていました。しかし最近、中心部においては、L錐体やM錐体も受けており、L錐体やM錐体の機能も低下することがわかってきました。

視神経疾患

情報の通り道である視神経に疾患があると色の情報は正しく伝わらず、結果的には赤緑色覚異常や青黄色覚異常といった症状があらわれることがあります。

大脳疾患

脳において色を判断する後頭葉の下部に、脳梗塞などの異常が生じることで色覚異常が引き起こされることがあります。具体的な症状としては、見るものがモノクロになります。

心因性要因

精神的なストレスから視力に障害が出て、視覚にも異常が生じることが知られています。小児、児童に多く、視力低下や視野狭窄、色覚の変化などを生じることがあります。

治療

後天色覚異常の治療法はその原因となっているものを治すことで、原因によって治療法は異なります。個人差がある病気なので早めに眼科を受診して色覚異常の検査をする必要があります。
加齢による色覚異常の場合、日常生活の中で黒と紺の色誤認(黒と紺の靴下の色を間違えたなど)がたびたび起こるようであれば、色覚異常やその他の病気の可能性が高いので注意が必要です。

日常生活で注意すること

加齢による色覚異常は自覚症状もあまりなく、生活の支障度があるわけではないので放置されることが多く、注意が必要な場合があります。

高齢者の火災事故

ガスコンロなどの炎が衣服に燃え移る「着衣着火」が高齢者に多くみられており、原因の一つとして高齢者による色覚の変化が考えられています。ガスコンロの炎は青白い炎が6?pほど立ちのぼって見えるのですが、加齢による色覚異常になると、もっとも高熱である色温度の高い炎の先端の青色が見えなくなり4?pほどしか見えなくなってしまいます。そのため自分では炎との距離を適切にとっているつもりでも、炎の先端が見えないことで結果的に「着衣着火」が起こってしまいます。

(ガスバーナーの炎 見え方の違いシュミレーション 左から20歳、40歳、60歳、80歳)

*理論的にシミュレーションした画像のため、実際にはこのように見えているとは限りません。

高齢者の転倒事故

加齢による色覚異常になると、少し暗いところでは下り階段の最後の段差は影になり、段の境目が認識できなくなり足を踏み外してしまいます。高齢者では運動能力の低下も重なり骨折や脳挫傷などの重大な事故につながるおそれがあります。

(見え方の違いシミュレーション 左から20歳、80歳)

(見え方の違いシミュレーション 左から20歳、80歳)

*理論的にシミュレーションした画像のため、実際にはこのように見えているとは限りません。

高齢者の食欲低下

加齢による色覚異常がすすむと食べ物の色も鮮やかに映らず、おいしそうに見えないことにより食欲の低下を招くことがあります。

(写真ご提供:中京眼科 市川一夫先生)

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