参天製薬の取り組み

参天製薬グループは、視覚障がい者スポーツを支援しています。

視覚障がい者スポーツ支援の考え方

参天製薬は、眼科に特化したスペシャリティ・カンパニーとして、患者さんと患者さんを愛する人たちを中心に、社会への寄与を行うことを基本理念に掲げています。基本理念の実践の一環として、社会の眼疾患への理解、関心を高めるとともに、ボランティアなどを通じて従業員に患者さん視点の意識を醸成することを目的に、視覚障がい者スポーツ支援に取り組んでいます。参天製薬は視覚障がい者スポーツの支援を通じて、眼疾患がある方やご家族をはじめ、全ての方々の夢や希望を応援していきます。

日本ブラインドサッカー協会(JBFA)とのパートナーシップ

参天製薬は、NPO法人日本ブラインドサッカー協会(以下、JBFA)のビジョン「ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」および、ミッション「ブラインドサッカーに携わるものが、障がいの有無にかかわらず、生きがいを持って生きることに貢献すること」に共感し、2017年3月、パートナーシップ契約を締結しました。ブラインドサッカー男子日本代表および女子日本代表のスポンサーをはじめ、視覚に障がいがある子どもたちがスポーツに触れ、学校以外でスポーツに取り組むきっかけとなる場である「ブラサカキッズキャンプ(関西)」、小・中学校向けダイバーシティ教育プログラムである「スポ育」のパートナーとなり、JBFAの活動をサポートしています。

ブラインドサッカーの様子

JBFA主催イベントでの従業員のボランティア活動

JBFAが主催する視覚障がい児を対象にしたブラインドサッカーの体験会やスポーツ体験のイベント、ブラインドサッカーの大会などでは、従業員がボランティアとして参加しています。ボランティア参加者からは、「自分の仕事が社会にどう役に立つのか考え直し、モチベーションを上げる機会になった」「目に関わる企業としての理念や社会的責任を再確認できた」「より一層、患者さんや患者さんを愛する人々に貢献したいと強く思った」といった声が聞かれ、参天製薬の企業理念を再確認する機会となっています。

JBFAとの対談

JBFA事務局長の松崎英吾氏と参天製薬CSR担当役員である佐藤正道の対談を通じて、パートナーシップに込めた思いや実際の活動の感想、展望について改めて確認しました。
※本対談は2017年11月に行ったものです。

(右から)JBFA 松崎英吾氏 / 参天製薬 佐藤正道

幅広い活動とビジョンおよびミッションへの共感

- JBFAとのパートナーシップに至った経緯についてお聞かせください。

佐藤
参天製薬は眼科領域に特化した「世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニー」を目指しており、眼に関することでさらに広く社会貢献ができないかと考えておりました。JBFAさんはブラインドサッカー競技の普及・強化だけでなく視覚障がい児への運動機会の提供や一般に向けたダイバーシティ研修など幅広い活動をされています。JBFAさんと組むことで、眼の疾患で困っていらっしゃる方々を勇気づけたり、幅広い方々と夢や感動を共有することもできると考えました。JBFAさんのビジョンおよびミッション 注釈1 は当社の基本理念と通じるものがあり共感できたというのが、パートナーシップを結んだ一番の理由です。

参天製薬のCSR活動にJBFAを選んだ理由を語る佐藤

松崎
ありがとうございます。何より心強いのは、我々のビジョン、ミッションに共感いただけたこと。そして、障がい者スポーツを通じて、視覚障がい者や障がい者を取り巻く環境にどうアプローチするかという視点をご理解いただいていることです。

佐藤
JBFAさんは、競技強化以外に様々な社会貢献プログラムを自分たちで企画し、自らが中心となって企業と協力しながら障がい者の方にそのプログラムを提供する活動を継続されています。そういう活動に一緒に参加して取り組むことで、我々参天製薬で働く者にも患者さんの思いや視点に気付く機会ができ、その思いや気付きを仕事に生かしていくことができるのだろうと感じました。その活動が将来、社会貢献として大きく育っていくことにつながると考えています。

松崎
そうおっしゃっていただくのが一番嬉しいです。我々自体も過去を振り返ると、最初から今のような考え方であった訳ではありません。「何のために活動しているのだろう?」「このスポーツを通じて、我々は何をやりたいのか?」と振り返る機会に恵まれ、ビジョンを再策定したことがありました。私達のビジョンにある「混ざり合う社会」という言葉が出て来たのはその時です。当時、議論を重ねたのは、「勝ってメダルを獲っても、社会はもとより視覚障がい者の中でも全然知られないじゃないか。それで勝つことにどのような意味があるのだろう?」という点です。我々は、勝った時、わずか10人の代表選手が喜ぶのではなく、きちんと社会から応援され、それによって障がい者の働く環境や教育の公平性にアプローチしていけるようにしたいと思いました。その後、ビジョンのもとに事業を少しずつ整え、スポ育やOFF TIME 注釈2 、OFF TIME Biz 注釈3 といった今のプログラムを作り上げていきました。

注釈1
JBFAのビジョン:ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること
JBFAのミッション:ブラインドサッカーに携わるものが障害の有無にかかわらず、生きがいを持って生きることに寄与すること
注釈2
OFF TIME:ブラインドサッカーを活用した一般の方を対象とした個人向け体験プログラム。視覚障がい者が講師となりコミュニケーション、チームビルディング、ダイバーシティ理解を、体験を通じて学べるようになっています。
注釈3
OFF TIME Biz:企業・団体を対象としたブラインドサッカー体験型企業研修プログラム。

ブラインドサッカーの価値

- 佐藤さんが、初めてブラインドサッカーに触れられたのは、OFF TIMEだったそうですね。

佐藤
そうです。OFF TIMEは、視覚障がい者の方と混じり合いながら、いろいろなことが体験的に学べるようになっていました。この研修を社会に向けて広く普及させ、企業研修にも展開し、NHK等多数のメディアでも取り上げられていると聞いて感心しました。このような研修に従業員が参加する機会があれば、目の大切さを再認識するとともに、眼科医療にかかわる私達の仕事の社会的意義に一層の誇りと自覚を持つ良い機会になるだろうとも思いました。その後、ブラインドサッカーの試合を観戦し、健常者をも上回るようなスピードと迫力あるプレー、障がい者と健常者(キーパー等)が同じピッチに立ち一致協力して戦う方式に率直に驚きと感動を覚えました。それはまさに「(障がい者と健常者が)普通に混ざり合う競技」でした。理屈抜きに見ていて面白いのです。これであれば従業員も障がい者支援と言った堅苦しさを感じずに受け入れてくれると確信しました。
とかく障がい者支援は、支援する側とされる側といった意識や関係性が出来がちですが、ブラインドサッカーは、競技そのものも協会活動も障がい者と健常者がともに喜びや苦労を分かちあっているようで、我々が目指す社会貢献の姿に合致していました。

障がい者スポーツ界をリードし、JBFAを率いる松崎氏

松崎
そう感じていただけて、ありがたいです。というのも、私にも「ブラインドサッカーはすごいんですよ。だから支援してください」としか言えなかった時代があります。2007年頃、ブラインドサッカーは一体何の役に立てるのかを真剣に考えました。社会の役に立ってこそ、初めて人や資金やモノという形で我々に戻って来る。「すごい」ではなく、価値でお話ができるようになろう。先に自分たちで自分たちの器からあふれるぐらいの価値を提供してこそ初めて戻って来るはずだ、と。実際に2009年から2013年くらいまで自分たちで社会に対して何かをしようと必死になって動いていました。それがようやく形になり、少しずつですが認めてくれる人が増え始めたのが、ちょうど佐藤さんとお会いした頃でした。

佐藤
決して、支援する側される側の関係ではなく、胸を張って社会に価値を提供していくというものを作られたからこそ、我々も参加しやすかったです。

事業と一体のCSR活動

- 実際の活動を通じ、どのような気付きがありましたか。

佐藤
JBFAさんの活動に関っていると常に新しい気付きを与えられます。例えばキッズキャンプに参加してくれた子ども達が重い視覚障がいをものともせず普通に明るく生きる姿からは、元気と勇気をもらい、その親御さんたちからは、眼科医療や医薬品に対する期待とともに様々な思いがあることを学びました。参天は眼と眼科医療の専門家のつもりでしたが、視覚障がい者の皆さんとの交流を通じ、MR 注釈 含め医療現場に近い従業員たちでも知らないことが多くあったというのは今回の一番の発見でした。
より多くの従業員が今後キッズキャンプを経験することで、改めて我々製薬企業の使命を再認識するとともに、自分のやるべきことを見つめ直し、周囲の同僚や顧客、医療関係者の皆さんに自分の言葉で語りかけられるようになり、それが社内外に広まっていくことが参天の理念の実践になると考えています。

松崎
参天製薬さんは眼科に特化した事業を展開されているので、特に視覚障がい児が参加するキッズキャンプという場で感じられ、気付かれることが多いのだと思います。現場のスタッフから、普段から「目」に向き合っていらっしゃる皆さまの行動力や対応力は素晴らしかったと聞いています。
今後、段階的にですが、MRの方々から医療関係者に視覚障がい者スポーツをご案内していただくような設計にも一緒にチャレンジできると考えています。選手らに話を聞いていますと、医療関係者が治療を止める段階があるそうです。「これ以上は見えません、進行を止められません」という段階です。そのため、医療関係者が治療を諦めた人が障がい者というイメージも私にはあります。しかし医療関係者がその後、ソーシャルワーカーや患者さんに、このようなスポーツによって運動する機会がありますよと一言いってくださるとか、何か一つ案内を渡してくれるかが意外と大切だと思うのです。これは、障がい者スポーツ全般の課題だと思います。視覚障がい者に関しては参天製薬さんのネットワークを活用させていただくとか、支援の流れを作っていくことに大きな可能性があると思っています。

佐藤
おっしゃるとおり、我々も視力を失った方は事業と言う意味からは漠然と顧客でないと思っておりました。しかしアレルギーや眼の乾きも含め様々なかかわりもあるという初歩的なことにも気付かされました。医療に携わる先生方は生命や健康、患者さんのQOL (Quality of Life:生活の質)に対して非常に高い感性と強い使命感を持っておられます。我々の気付きが先生方に新たな気付きを提供する機会となり、患者さんのQOL向上につながればこんなに素晴らしいことはありません。事業と一体となったCSR活動の良い具体例になると思います。
JBFAさんとの活動は始まったばかりなので、結果が出るには多少時間はかかるかもしれませんが、会社、先生方そして患者さん、全ての方にとってプラスになる良い循環を作ることができればと考えています。

視覚障がい者スポーツの課題と事業活動の取組みの可能性について語り合う両者
注釈
MR:Medical Representativeの略。医薬情報担当者

参天製薬×JBFAの取り組みの先に

- 最後に、パートナーシップを振り返っていただき、改めて今、思われていることを教えてください。

佐藤
JBFAさんと組んで後悔したことはないですね。これまでにかかわってくれた従業員は、皆大変ポジティブに受け止め仕事に生かしてくれています。JBFAさんのビジョンにある「混ざり合っていく」ということを肌で感じ行動に移すには、やはり活動に参加して実際に経験することが重要です。きっかけは競技観戦からでも良いので、社内外のより多くの人がJBFAさんの取り組みに触れてほしいと考えています。次のチャレンジとしては、社内のファンを増やし、医療関係者の方をはじめ多くの方々に広げて行きたいと考えています。
今日本では2020年の東京パラリンピックに向けて障がいや障がい者スポーツに対する関心も高まってきています。これを機に障がい者スポーツのファン層が大きく拡大していくことを期待しています。
ファンを増やすと同時に、眼疾患の啓発も行い早期発見や早期治療につなげて、視覚障がいをこの世からなくしていきたいと思っています。それが5年かかるのか、10年かかるのか、100年かかるのかは分かりませんが、大きな夢に向かって一緒に活動していきましょう。ただ一方で、決して死がなくならないのと同じように、事故やいろいろなことで失明される方もいるはずなので、そのようになったとしても混ざり合っていけるような社会をまずはともに作っていきましょうということかもしれませんね。

松崎
参天製薬さんとは大きな課題に向かって一緒にチャレンジしていき、きちんと積み重ねていくことが大切だと感じました。我々も、しっかり結果も出しながら、期待に応えていきます。

JBFAとともに取り組み、果たす社会的な意義について再確認した対談でした