ハウスダストによる
アレルギー性結膜炎
監修:北海道大学大学院医学研究科 病態制御学専攻
感覚器病学講座眼科学分野教授 大野重昭 |
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○はじめに
○アレルギー性結膜炎とはどんな病気ですか?
○ハウスダストにはどんなものがあるのですか?
○アレルギー性結膜炎の症状は?
○アレルギー性結膜炎の治療はどのようにおこなわれるのですか?
○アレルギー性結膜炎の予防法を教えてください。
○おわりに |
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| はじめに |
現代のわが国において、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくなど、なんらかのアレルギー疾患に罹(かか)っている人は国民の約30%を占めるといわれています。これらのアレルギー疾患は近年も急増し続けており、社会的な問題としても取りざたされています。
アレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)としては春先の花粉がよく知られていますが、実はもっと知ってほしい物質として家の中のダニやほこり、ペットのフケなどがあります。これらは季節性の花粉とは違って、一年中症状を引き起こす可能性があります。しかしながら、原因と対策がわかればアレルギーを克服することもできます。この冊子は、ダニやほこりが原因で起こるアレルギー性結膜炎を中心に、どうすれば克服できるかを解説します。 |
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アレルギー性結膜炎とはどんな病気ですか? |
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花粉や住まいの中にあるほこりが原因になって起こる目のアレルギーのことをいいます。これらの原因物質をアレルゲンと呼びますが、特に住まいの中にあるほこりを、専門的にはハウスダストと呼んでいます。最近では、このハウスダストによるアレルギー患者が急増しています。花粉には季節性がありますが、ハウスダストは1年中室内にあるため、いつ病気になってもおかしくありません。したがってこのアレルギーを「通年性(つうねんせい)アレルギー」と呼び、花粉症と区別しています。
結膜は外からの刺激や異物にさらされやすい組織で、涙などでいつもぬれています。ですから、ハウスダストや花粉がくっつきやすく、アレルギーが起こりやすいのです。 |
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ハウスダストにはどんなものがあるのですか? |
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ハウスダストにはいろいろなものがあります。ほこりの中に混じって生きているダニ、ダニの死骸(しがい)や糞(ふん)、ヒトや動物のフケや毛、カビなどをも含みます。これらが無数のほこりとなって空中に舞い上がり、結膜にくっつくと結膜炎、鼻の粘膜にくっつくと鼻炎、吸い込むと気管支ぜんそくなどと、さまざまなアレルギー症状を引き起こします。
この中で特に問題になるのがヒョウヒダニ属のコナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニです。ヒョウヒダニは、温度が約25℃、湿度が70〜80%の環境がもっとも繁殖(はんしょく)しやすいといわれています。最近の住まいは気密性の高いアルミサッシ窓が多く、冷暖房設備が整っています。ところがこの通気性の悪い環境がダニにとっては好都合で、特にじゅうたんは絶好の住み家になります。まさに人間自らハウスダストをつくりだしているといってもよいでしょう。 |
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| ハウスダストのいろいろ |
頭髪、フケ、
カビ、細菌、
食べ物のかす、
昆虫、
ダニ
(死がいや糞も含む) |
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| コナヒョウヒダニ |
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アレルギー性結膜炎の症状は? |
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アレルギー性結膜炎の症状は、まず目やまぶたがかゆくなります。目をこすったり、かいたりしていると次第に痛みが加わり、目がゴロゴロした感じになります。そしてそのまま放っておくと結膜が充血して、まぶたが腫(は)れてきます。さらに症状が悪化すると、透明な角膜の周辺が赤紫色になって、結膜にゼリー状の目やにが出てきます。このような症状になるとたいへんです。まず、かゆい段階ですぐに眼科医を訪れてください。
なお、すでに述べたようにアレルギー疾患は目だけにとどまりません。鼻炎、気管支ぜんそくなど身体のいろいろな所にいろいろな症状が出ます。鼻炎と結膜炎が一緒に症状として出ることもありますから、おかしいと思ったらすぐに医師に相談することが肝心です。 |
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アレルギー性結膜炎の治療はどのようにおこなわれるのですか? |
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アレルギー疾患はつらい病気です。かゆくてたまらない結膜炎やくしゃみ、鼻みず、鼻づまりの鼻炎など、その苦しさとつらさは人には言えないものがあります。そこで症状が悪化しないようにするためには薬剤による治療が必要になります。
アレルギー性結膜炎の治療には、抗アレルギー点眼薬がよく使われます。抗アレルギー点眼薬にはヒスタミンH1拮抗(きっこう)点眼薬とメディエーター遊離抑制(ゆうりよくせい)点眼薬の2種類があります。ヒスタミンH1拮抗点眼薬はかゆみを引き起こすヒスタミンの作用を直接阻止するので、主にかゆみの強いときに処方されます。メディエーター遊離抑制点眼薬はヒスタミンなどを増やさないようにする作用がありますが、効果が現れるまで2週間くらいかかるため、症状が現れる前から使い始めることがあります。抗アレルギー点眼薬は比較的副作用の少ない薬です。使用中は勝手に中断することなく医師の指示に従って使うことが大切です。
また、重症になると副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)点眼薬が用いられます。この薬は作用が強くよく効きますが、副作用もありますので、医師の指示に従ってください。 |
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アレルギー性結膜炎の予防法を教えてください。 |
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1.まめに掃除をしてハウスダストを減らすこと
ハウスダストがほこりとなってたまると、空中に舞い上がりやすくなり、アレルギーを引き起こす原因となります。ダニはじゅうたんやたたみのほこり1g中に平均3000匹もいるといわれています。したがって、ほこりをためないように、まめに床をていねいに電気掃除機をかけることが大切です。
また、家具や棚の上などのほこりは、よくしぼったぬれぞうきんで拭き取りましょう。冷暖房機、空気清浄機のフィルターを水洗いすること、年に2回はたたみを干すことなども大切です。 |
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| ダニ・カビを退治する掃除のポイント! |
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床をていねいに(1uにつき20秒以上の時間をかけて)電気掃除機をかける。 |
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家具や棚の上はぬれぞうきんで拭く。 |
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冷暖房機、空気清浄機のフィルターを水洗いする。 |
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年に2回はたたみを干す。 |
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2.風通しを良くしてダニ・カビを増やさないこと
ダニは温度が25℃、湿度が75%前後で繁殖(はんしょく)します。
現代の日本の住居は断熱・気密性が高くなり、室内が高温多湿化しやすく、ダニにとっては好環境となっています。したがって、できるだけ窓を開放して風通しを良くし、ときには換気扇(かんきせん)を使って室内の湿度を下げるようにしましょう。特に食事の準備やお湯を沸(わ)かすときなどには水蒸気が発生して湿度が上がりやすくなりますので、必ず換気が必要です。開放型の石油・ガスストーブの使用中も湿度が上がりますので気をつけましょう。
また、温度調節や除湿のためにエアコンを使う際は、フィルターのほこりにダニやカビが繁殖している可能性がありますので、きちんと掃除してから使用しましょう。 |
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| エアコン使用開始時には換気を忘れずに! |
| エアコンをしばらく使用していないと、コイル内でカビが増殖していることがあります。使用開始時にはフィルターの掃除とともに作動開始から数十分は換気しましょう。 |
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3.寝具の手入れを怠らないこと
ダニは人やペットのフケ、垢(あか)などをエサとするため、それらの発生しやすい寝室や寝具類でよく増えます。寝室の床はまめに掃除機をかけ、晴れた日はふとんを天日干しし、枕カバーやシーツは毎週洗濯しましょう。ふとんの天日干しは、夕方外の湿度が上がる前に取り込み、取り込んだ後は、さらに掃除機をかけるとダニ退治の効果がアップします。雨の日が続いたり花粉の飛散期間などは、ふとん乾燥機を使うのもよいですが、使用中は室内の湿度が上がりますので、換気を心がけましょう。
また、季節の変わり目に押入れから出したばかりの寝具類は、使用前に洗濯または天日干しを行い、ていねいに掃除機をかけてから使いましょう。 |
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| ふとん選びのワンポイントアドバイス! |
ふとんは素材によってダニの増えやすさが異なります(下記参照)。新しいふとんを購入する際は、ダニの増えにくいものを選ぶようにしましょう。また、高密度繊維(こうみつどせんい)*のふとんカバーなどを使うのもよいでしょう。
【ふとん素材別ダニ存在数の比較】
高密度繊維*<羊毛<ポリエステル≦羽毛≦綿
*高密度繊維:ダニが通り抜けられないほど細かく編んでいる繊維 |
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4.ダニの温床となるぬいぐるみは置かないこと
ぬいぐるみ、布製のソファー、壁掛け、じゅうたんなどはほこりがたまりやすく、ダニの温床となります。できるだけ置かないようにしましょう。床素材としては、板の間(フローリング)が理想的です。また、室内でペットを飼ったり、観葉植物を置いたりすることも、ダニを増やす原因となります。ペットは初めから飼わないか、外で飼うようにしましょう。 |
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ペットは絶対室内で飼ってはいけないの?!
ペットの毛やフケなどは、それだけでもアレルゲンになりやすく、またダニを増やす原因にもなります。しかし、一方では、米国立アレルギー感染症研究所が、生後1歳までに室内で2匹以上のペットを飼っていた乳児は飼っていなかった乳児に比べて6、7歳に成長したときのアレルギー発生率が有意(ゆうい)に低かったという報告をしています(2002年)。ペットによって運ばれた細菌が死ぬときに放出するエンドトキシンという毒素(どくそ)がアレルギーに関する免疫細胞(めんえきさいぼう)の増殖を抑えたためということです。ペット1匹ではその効果がなかったとしています。このことは、乳児期の行き過ぎた清潔思考もまた、アレルギーの一因となる可能性を示唆(しさ)しています。 |
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| 1 |
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まめに掃除をしましょう。 |

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| 2 |
部屋の通風を心がけましょう。 |
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晴れた日はふとんを干しましょう。 |
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早寝早起きをして生活のリズムを整えましょう。 |
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食事ではバランス良く栄養をとりましょう。 |
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コーヒー、タバコ、香辛料などの刺激物は控えましょう。 |
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ファストフード、加工食品をとり過ぎないようにしましょう。 |
| 8 |
適度に運動しましょう。 |
| 9 |
ストレスをためないようにしましょう。 |
| 10 |
医師の指示に従って適切な薬物療法を行いましょう。 |
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| おわりに |
| アレルギー疾患にはそれを起こりやすくしたり、悪化させたりするいくつかの原因があります。症状を抑えるためには直接の原因であるアレルゲンを取り除かなければなりません。そのためには、まず自分の病気をよく知ること、そして環境に気をくばることが重要です。また、薬剤の使用は医師の指示に従いましょう。アレルギー疾患の患者さんが、この冊子に書かれていることを参考に、一日も早くつらい症状から解放されるよう願っています。 |
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